出版社内容情報
記憶の襞に隠れた過去が、ふとした瞬間に蘇り、時空を超えて往還し、別の様相をおびて未来を予言する。写真+散文の新たな可能性。
内容説明
写真が掘り起こす、忘れた過去/写真が予言する、まだ見ぬ未来。記憶は交錯する。『ASIAN JAPANESE』から20余年、著者の新境地。
目次
過去を撮る
犬の名
消えた猿
悲しき熱帯
川の国境まで
二二歳の背中
未来の街
地雷原の奥
贈る言葉
この夏のこと
今宵、僕たちは
母を撮る
著者等紹介
小林紀晴[コバヤシキセイ]
1968年長野県生まれ。写真家・作家。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、新聞社カメラマンを経て1991年に独立。1995年のデビュー作『ASIAN JAPANESE』がベストセラーとなる。1997年『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞。2013年、写真展「遠くから来た舟」で林忠彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
13
自分もそうだけど、記憶というのは現実とシンクロしたり、別の記憶とシンクロしたりする場合がある。一つのことを思い出したら、気がつくと別の記憶を呼び出していたり。それもなんてことないことを妙に強く覚えていたり。この本でも、日本で若いころの記憶と、インドでの体験がシンクロしている。記憶が別の記憶につながり、いまにつながり、やがて見ぬ未来につながる。記憶は一見自分にはよそよそしく見えて、すごく親しげにすり寄ってきたりするからやっかいなのだ。まったく。2018/03/27
kentaro mori
2
⚫️変わってしまった地で変わらないものを見ること、それを撮ることで、「何か」を伝えたいというようなことを、正直に口にした。[・・・]自分がしようとしていることは、結局、自分の「作品」を作るために他ならないと自覚させられた。[・・・]あってもなくても、他者はたいして困らないもの。[・・・]表現する者たちはそれを「作品」と呼んでいるのではないか。⚫️「世界を知ること」「楽しむこと」「死なないこと」2018/08/25
*おきた
0
本は人の人生を追体験できる。 そう思える本だが明確なイメージになって広がってかないのは自分の経験が浅いところにあるのだろう。 タイトルの通り、明瞭なイメージも出来ず見知ったことではないのに 何となく情景が浮かんでくる文章のうまさ、ヒントのような挿絵の写真があるからだろうか。 経験そのものにも価値があるが、文章を口の中で転がしてから飲み込みたくなるような独特な旨味も魅力ある。2019/03/06
hiratax
0
写真と文章の組み合わせは20年目の「アジアンジャパニーズ」だろうか。アユタヤにアシスタントをともなって取材に行くのにスワンナプーム空港からタクシーに乗ったが距離が遠いのように感じられたと。旧空港のドンムアンはちょうどバンコクとアユタヤの中間点ほどにある。こうした話を拾ってくるのが小林紀晴なのだと懐かしむ。2018/03/25
akiyama050505
0
20年ぶりくらいに著者の作品読んだ。歳をとったら、感じ方が変わるなあと実感。もう一度、アジアンジャパニーズ読んだらどんな風に感じるだろう?2018/06/01