植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む

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植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582837544
  • NDC分類 929.1
  • Cコード C0098

出版社内容情報

日本の植民地時代に日本語とハングルと格闘して書いた文学者――腹話術師たちに光を当てる、ユニークな試み!

金 哲[キム チョル]
著・文・その他

渡辺 直紀[ワタナベ ナオキ]
翻訳

内容説明

近代「韓国語」はいかに作られたのか。帝国の支配下で帝国の言語で発言する被植民地人は一種の腹話術師である。主に日本語との格闘を通して作品を書いた文学者たちの活動に豊富な引用で光を当て、その実態に鋭く近づく、ユニークな試み!

目次

「梅毒神薬ヨードカリ丸」―韓国語の“近代”
「カンバスの上にぶつかって散るワンタッチのオイルのようなもの…」―汽車と韓国小説
「おまえさ、どうやって、ここ来たべ?」―韓国小説と標準語
「裁判にも、両班、常奴の区別があるのでしょうか?」―韓国小説と近代司法
「まずは言葉から、英語でやりとりしよう」―韓国小説と英語
「恋は盲目なり」―韓国小説とエロティシズム
「私は内地人の嫁を娶ります」―韓国小説と“内鮮結婚”
「往復はがきのように戻ってきた」彼女―韓国小説と郵便制度
コーヒー、ブランデー、恋愛アメ、そしてランチ―食べ物と植民地モダニティ
「the agitators are 辱 ing me」―“韓国語”の誕生
「金にまさる力はないぞ」―金と韓国小説
植民地の腹話術師たち―朝鮮作家の日本語小説創作
「一切合財なくしちまった奴に、これ以上、仕打ちのしようもありません」―韓国小説と八月一五日の解放

著者等紹介

金哲[キムチョル]
韓国・延世大学校名誉教授。1951年韓国・ソウル生まれ。延世大学校国文科および同大学院博士課程修了。韓国教員大学校国語教育科、延世大学校文科大学国語国文学科の教授を経て、2016年2月に定年退官し、現在に至る。韓国近代文学を通じて植民地主義・民族主義・帝国主義の問題を分析する

渡辺直紀[ワタナベナオキ]
武蔵大学人文学部教授。1965年東京生まれ。慶應義塾大学政治学科卒業。出版社などに勤務ののち1994年に渡韓。東国大学校大学院国語国文学科博士課程修了(文学博士)。高麗大学校教員を経て2005年より武蔵大学に勤務。主著に、「林和文学論研究」(韓国・東国大学校博士論文、2017)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

渡邊利道

3
日本占領下の朝鮮半島で、近代文学を作った韓国人作家たちを、文学言語・鉄道・標準語と方言、裁判、英語、エロス、結婚、郵便制度、食べ物、「韓国語」、金、日本語、八月十五日の解放といった主題で論じる。対象作家はほぼ知らないが論旨が明快で引用が多く面白かった。日本語で書いた朝鮮人作家たちは祖国を裏切ったものとされたが、けっしてそうではなかったという話は、一部私も読んだことがある作家でいろいろと感慨深かった。韓国語で書いた作家も、その小説の雛型は日本語で構想したのだとか。あとはモダニティの話。2017/07/01

てぬぐひ

1
日本語をはじめとして「近代」に直面して、そこから新たに創造した文学、韓国語についての論考。小説のエクリチュール創造過程に興味を持った。 日韓二つの言語で腹話術師のように発言する当時の作家の存在を背信ではなくむしろ帝国の秩序転覆の可能性と著者は語る。敵の刃をとらえて敵を切るきわどい精神の曲芸…親日と断罪するだけでは見えなくなる過去もあるように思う。 最終章の許俊「残灯」読みたい。訳者あとがきにあった歴史修正主義者への憂慮、悲しい。2017/07/01

Sachiko

0
タイトルからいったいどんな内容なのかと思っていたが、副題のとおり、日本の植民地時代に書かれた朝鮮の近代小説を様々な側面から見た本だった。朝鮮で書かれたものだけでなく、日本に来た朝鮮人小説家が書いたものもある。日本語で書かれているものも、朝鮮語で書かれているが日本語や英語が多用されているものもある。当時の社会の様子を知ることができるだけでなく、表現方法という点でも興味深い本だった。2024/01/04

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