出版社内容情報
一兵士としての戦場体験を基に「戦争小説」を繰り返し書いた古山。「人生しょせん運不運」と嘯いた特異な人生観はいかに生まれたか。
内容説明
安岡章太郎ら「悪い仲間」との出会い、戦う気もない兵隊として過ごした戦争、鬱屈した編集者時代、そして旧友との別れ―「人生、しょせん運不運」と嘯いた作家の生涯。
目次
第1章 「悪い仲間」たち
第2章 「兵隊蟻」の戦争
第3章 「万年一等兵」の下積み
第4章 「悪い仲間」との決別
第5章 「戦争三部作」への執念
第6章 文士の“戦死”
終章 落葉、風を恨まず
著者等紹介
玉居子精宏[タマイコアキヒロ]
1976年神奈川県生まれ。ノンフィクションライター。早稲田大学第一文学部卒業。2004年から戦争の時代をテーマに取材を開始。05年ベトナム・ホーチミン市に移住。07年に帰国後も執筆活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パブロ
12
なんと真摯に作家と向き合った評伝なんだろう! 古山高麗雄は『プレオ―8の夜明け』しか読んだことがないけれど、他の戦争小説も読んでみたくなる。十年ひと昔とは言うけれど、死んでからあっという間に忘れ去られた作家だよな〜、古山高麗雄。安岡章太郎が自身の学生時代を描いた『悪い仲間』で登場する不良のリーダー格「藤井高麗彦」のモデルと言えば、「あぁ」と思う人もいるはず。学校も軍隊もドロップアウト。しかし、古山は「弱兵」という立場から視線をそらさずに小説を描いていく。一人の作家・人間の業を静かに凝視させてくれる一冊。2015/09/08
novutama
3
今夏出版された舎弟の本を今更読む。古山高麗雄は49歳にして芥川賞受賞の栄誉に浴した作家。芥川賞は新人作家にやるものだから異例なことだ。おまけに彼は元戦犯。ベストセラー作家ではないから時の流れに忘れ去られる。読書家諸氏が知らなくても恥ではない。かくいう自分も、舎弟が南方に赴く折に、受賞作である「プレオー8の夜明け」を拙宅に置いていかなければ読むことはなかった。本作は古山を知りたいと追いかけ続けた著者の力作。不足はあっても古山その人のなりと魅力を描けている。著者の新たな境地を見た気がして、素直に喜んでいる。2015/11/01
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