内容説明
手塚治虫が愛してやまなかったクラシック音楽。手塚漫画&手塚自らのエッセイを織り交ぜながら、手塚作品と音楽の深い関係を解き明かし、手塚治虫の新たな一面に光りをあてる。絵を描くことに次いで音楽好きだった少年時代のエピソードをはじめ、音楽好きであったからこそなし得た表現や、手塚作品に登場するバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなど数多くの音楽家に注目。手塚が好きだった音楽アニメや、手塚とブラームスの類似性などにも言及する。
目次
序章 治虫少年の音楽
第1楽章 絵で音を表現する
第2楽章 手塚作品に登場した音楽家たち
第3楽章 雨のコンダクター
第4楽章 音楽アニメと音楽家たち
第5楽章 手塚治虫の音楽エッセイ
著者等紹介
手塚治虫[テズカオサム]
1928年、大阪府豊中市生まれ、兵庫県宝塚市で育つ。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。1946年、『マアチャンの日記帳』で漫画家デビュー。1962年には『ある街角の物語』でアニメーション作家としてもデビューする。1989年に死去
小林準治[コバヤシジュンジ]
1948年、東京都に生まれる。1966年、アニメーターとして、初めて手塚作品に参加する。1978年には、手塚プロダクション動画部門創設に参画。日本アンリ・ファーブル会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さきん
24
手塚治虫氏がクラシックの造詣に深いことは、作品から薄々感じていたが、本書を読んで納得したのと同時に実は大変な影響を氏に与えていたことを知り驚いた。モーツァルトとチャイコフスキーが大好きなようだ。編集した小林準治氏がほとんど解説し、最後に手塚治虫氏のクラシックに関する文章が載っている。2016/11/28
ひと
13
図書館で見かけた手塚治虫氏とクラシック音楽の本、きっと素敵に違いないと借りてきました。お弟子さん(?)の小林準治氏が、手塚氏や手塚作品とクラシック音楽との関係を語ってくれています。アニメ作品との相性が良いようで、「ある街角の物語」から始まり、いくつもの音楽作品が作られているようです。Primeでも観られるのが有難く、鑑賞するのが楽しみです。バーンスタインを描いた短編作品「雨のコンダクター」で演奏されていたハイドンの「戦時のミサ」も聞いてみたくなりました。手塚氏の才能と関心の幅の広さに本当に驚きです。2024/12/15
愛理ちゃん88
7
漫画の神様「手塚治虫」が漫画家になったきっかけが、天衣無縫の音楽を作曲する天才モーツァルトの「フィガロの結婚」のアリアであったとは出来すぎな話だが、時代背景が戦後であること、黒人米兵ジョーがオペラ好きであり2人の共通の趣味がクラシック音楽であったこと、ジョーが手塚先生の書く画に好意を持ってアメリカのコミックマンガをプレゼントし、手塚先生が乱読したことなど、どの条件を欠いたところで漫画家「手塚治虫」は誕生しなかったんだと思うと天才モーツァルトの音楽は漫画の神様を誕生させたのは間違いない。2014/10/12
sakase
6
ルードウィヒBを読みたくなった。2016/11/28
HoneyBear
6
未完の遺作ルードウィヒ・Bの先を想像したくてまた手に取る。このように音楽を絵で表現していたのかと改めて感嘆。ディズニー映画にも凄く影響を与えているだろう。言語を超えて通じ合うというのは絵も音楽も共通しているけれど(数学もか)、音楽を視覚化しようという創意工夫と熱意は、聴力を失っても作曲を続けたベートーヴェンの執念に通じるよう。実際、手塚治虫はベートーヴェンを尊敬してやまなかったらしい。手塚治虫氏ご自身のエッセイも読めるのも嬉しい。ルードウィヒ・Bの先がどのように構想されていたのかは謎のままだけれど。2014/09/29