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出版社内容情報
効率論や西洋型先端思想やナショナリズムに基づいて漢字を制限もしくは廃止する思想を思想史として総括した意欲作。
安田 敏朗[ヤスダ トシアキ]
著・文・その他
内容説明
漢字廃止・制限論と擁護論との対立が、さまざまな「応世」と偏狭頑迷な「伝世」の主張となって、激しい「思想戦」をいくたびも繰り返してきた。その逆説の構図をあぶり出す、日本語そのもののあり方を問い直し、これからの日本語を考えるために不可欠の基礎作業。文字に思想はあるのか。
目次
第1章 漢字廃止・制限論をどうとらえるか
第2章 文明化の思想
第3章 競争の思想―国際競争と産業合理化のなかで
第4章 動員の思想―能率と精神のあいだ
第5章 革命の思想―マルクス主義という「応世」
第6章 草の根の思想―「昭和文字」の射程
第7章 総力戦下の思想戦―標準漢字表をめぐる攻防
第8章 それぞれの敗戦後
著者等紹介
安田敏朗[ヤスダトシアキ]
1968年、神奈川県うまれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程学位取得修了。博士(学術)。現在、一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専門は近代日本言語史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
48
#解説歌 伝世と応世制限・廃止論資料整理し比較考察2016/05/22
さとうしん
5
この手のテーマの本としては珍しく、漢字を制限・廃止すべき、あるいは漢字文化を守るべきといういずれの意見にも賛同することなく、淡々とした語り口。漢字の制限と言えば戦後の当用漢字・常用漢字を思い浮かべるが、本書の中心は戦前・戦中。漢字の制限・廃止論が、日本の伝統だの能率だの「ユダヤの陰謀」だの民主主義だのといった思想に振り回されてきた経緯を丁寧に追っていき、それを踏まえて、そんなよくわからないものに振り回されずに、もっと気軽に文字を使ったり使わなかったりできないかという著者の問い掛けは存外に重いように思う。2016/07/10
kenitirokikuti
4
ひさびさに手書きすると漢字を書けなくなっているので、その意味では日本語ワープロの発達と普及が「漢字廃止の思想」を実現されているのではないか、みたいなことがあとがきにあった。草書や行書は最初から書けないしなぁ。読めはする2016/07/16
tkm66
2
面白い!でも重い!電車で読むには中々・・。ただ内容は重要かと。2016/06/07