ホラー・ドラコニア少女小説集成
ジェローム神父

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  • サイズ B6判/ページ数 109p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582831733
  • NDC分類 953
  • Cコード C0093

内容説明

可憐な少女たちを待ち受ける終わりなき姦計。食人猟奇ミステリー「羊たちの沈黙」「ハンニバル」を凌ぐ倒錯世界を、犯罪者の視点から執拗に描きつづけた悪の哲学者サド。読者の脳を撹乱するそのディープな悪徳の味が、異端作家・渋沢龍彦のマッドな文章と現代アート界を震撼させる幻想画家・会田誠の絵巻で甦る、渋沢=サド少女小説衝撃の復権!渋谷の闇のむこうにあるという、少女たちの逆ユートピアとは。

著者等紹介

サド,マルキ・ド[サド,マルキド][Sade,Donatien Alphonse Francois de]
1740‐1814。フランスの小説家。ペトラルカの愛人ラウラを家系にもつ名家の出。司法官の娘と結婚したが、乞食女鞭打事件、ボンボン事件などのスキャンダルを起こし投獄、生涯の三分の一を獄中で過ごすことになる。大革命とともに釈放されるが、反革命の嫌疑でふたたび下獄、さらにナポレオン体制下に筆禍を招き、死ぬまでシャラントン精神病院に監禁された

渋沢龍彦[シブサワタツヒコ]
1928(昭和3)年、東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。サドをはじめとするヨーロッパ暗黒・異端文学の第一人者。政治の季節といわれた60年代に、『神聖受胎』『毒薬の手帖』『夢の宇宙誌』などの著作で、文学・芸術の視点から脱マルクス的思想を送り出し、当時の左翼的土壌に激震を起こす。59年に翻訳したサドの『悪徳の栄え』が猥褻書とされ発禁処分(60年)となる。当時の作家・文化人を巻きこむ「サド裁判」が起きるが、69年、東京地裁で有罪判決が確定する。その後もシュルレアリズム、オカルティズム、エロティシズムなどに関するエッセイや、西欧古代・中世を中心にした斬新な美術・文学評論をつぎつぎと発表、三島由紀夫など同時代の作家に強烈な刺戟と影響をあたえた。80年代以降は日本の古典によった独自の幻想文学世界を確立、『唐草物語』(泉鏡花文学賞)『うつろ舟』、『高丘親王航海記』(読売文学賞)などの傑作を生む。1987年、喉頭ガンで急逝
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yn1951jp

35
快楽の哲学者サドと「食用人造少女・美味ちゃん」の会田の「位相のずれ」。そして暗黒・異端文学の伝道師澁澤の「異常と正常」が言い訳のように聞こえる。それぞれが素晴らしい一皿なのだが、なんだか取り合わせを間違えて注文してしまったようで、後味がよくない。「エロティシズムは個人的なもので、主観的なものであろう」と澁澤が言っているが、このメニューでは、私はエロティシズムを感じることができなかった。澁澤が生きていればできなかった本だろう。会田を知らなかった私にとっては、会田の魅力を少し理解できたのだが。2015/02/08

skellig@topsy-turvy

20
サドの「美徳の不幸」からの抜粋+澁澤氏の「エロティシズム」からの「正常と異常」に関するエッセイ。挿絵は会田誠さんのもので、付属の月報による山下裕二氏の解説がすとんと腑に落ちる。曰く、少女メタファーで通底しつつも明らかにズレている澁澤と会田コラボを楽しもう。食用少女美味ちゃんのシリーズがメインで、結構挿絵が多い。あっけらかんとした彼女たちは、作中の苦痛と断末魔が御供の被害者たちとは違うので違和感はあるけど、ひたすら消費される存在としては共通するものがあるのだろうか。2013/12/26

19
主人公が己の、身体という名の国家で、精神という名の法律を振りかざしたくり淫蕩生活に耽るという点ではガブリエルヴィトコップ「ネクロフィリア」と根底は同じな気もする。ただ、屈強⇔弱小国という完璧な違いはあるが。SMにおけるMは苦痛を快楽に変えるプロセスありきで成立すると思っているので、会田誠挿絵の完全に思考放棄の快を表現してるような女の子には違和感を感じた。けど後半になるにつれ馴染んできたので不思議。何故だか脳内BGMは「BORN TO BE WILD」であった。2013/10/29

駄目男

11
「真の幸せを得たいのなら、自分の快楽だけを考えていれば良い。いったい他人を思いやることに、どれほどの価値があるというのだろう? 道徳なんてものはさっさと捨てて、悪に染まることを恐れず大っぴらに生きた方が、人間幸福になれるのだ」主人公の言い分で、そのままサドの考えになるのか、少女を誘拐し、拷問、毒を飲ませて陵辱、目の前で婚約者を殺害、その心臓を食わせる。悪を悪と思わず、開き直って生きればこれほど楽しいことはないということか。然しながらレイプ、凌辱というのは読んでいて、あまり気分のいいものではない。2020/05/18

そのじつ

11
表題作のほか「正常と異常」という澁澤のエッセイをセレクトして後書きがわりに据えてある。こんにちでは、多様な嗜好が公の場で表明され、あるいは趣味的に、あるいは商業的に、社会に世界に広く頒布している。それを否定するつもりはないが、エロティシズム=芸術至上主義みたいなものには反射的に反発を覚える。澁澤の言葉を自分が編集した本の後記に持って来た高丘卓へ文句を言いたい。フェミニズムとかじゃなく、ポルノグラフィーの中の女の痛みを自分と他人に分けられへんだけなんや。男の快楽を女の身体では受け止められへんだけなんや。と。2014/08/02

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