出版社内容情報
「メザシの土光さん」として広く親しまれた「財界の荒法師」土光敏夫。その「清貧の思想・生き方」の源泉を探るとともに、日本がどん底から這い上がった昭和という時代を描く。
内容説明
剛腕にして清貧―日本の再建に挑んだ男の波乱に満ちた生涯。一介のタービン技術者から財界総理、行政改革のカリスマへと人生の階段を駆け上った「メザシの土光さん」の実像に迫る。
目次
第1章 法華経とジェットエンジン
第2章 焼け跡、占領、ブラジルへの道
第3章 高度成長の分水嶺に立つ
第4章 エネルギー飢餓と行動する経団連
第5章 行政改革への執念
終章 「志の一分」を継ぐ者たち
著者等紹介
山岡淳一郎[ヤマオカジュンイチロウ]
1959年愛媛県生まれ。ノンフィクション作家。「人と時代」「21世紀の公と私」を共通テーマに、近現代史、政治、医療、建築など分野を超えて旺盛に執筆する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
19
前世紀後半から今世紀前半に人生を全うする私にとって、二三世代前の人々の人生が生き生きと見えるようになった。時代は幾重にも重る雪のようなもの。ともすれば、激動とか不透明という台詞に惑わされ、表層を舞う雪の動きに一喜一憂しがちだが、深層を形作っている氷の部分に目を向ける努力をするべき。ネットで拡散される極端な表現や思想に一方的になびくようでは危うい。危機を察知するためにも現象の連なりを点ではなく流れとして掴む姿勢が求められる。先が見えない時代だから、後ろを見つつ過ぎ去る像を確認しながら前に進むことが必要だ。2016/01/19
Hideki Ando
3
表紙の写真でまず衝撃を受ける。近年このような顔の人が居なくなったと感じる。本書は土光敏夫の周りの人の証言や著作、膨大な議事録を中心として纏められた労作であると思う。本書を読んでも土光自身に対する印象は変わらなかったが、臨調の官僚の抵抗や国鉄職員であったにも関わらずJRの役員になっている「三人組」等の生々しさのほうが無気味であった。2014/07/09
takao
2
ふむ2021/12/22
Masato
2
石川島造船所の播磨との合併、東芝再建、第4代経団連会長、民間人初勲一等旭日桐花大綬章受勲、当時自民党副総理福田赳夫に土光ではなく怒号だと言わしめた 経済界の豪傑。資本金よりも資本人、スタッフは現場の良きサービスマンたるべし、付和雷同型組織に発展無し、日新日日新、時代がどうあれ個人的にこういう人は大好物です。背筋気持ちよく伸びました。2017/11/24
Y.m.Kim2
1
『「要するにだれでもやるようなことをやるのはだめなので、他人に一歩先んずることです。 私は造船屋ですが、部品の流れの工程管理と工作物の幾何学的な正確性を向上させれば、当然いい船が安くできるはずです。 作業者の体力にたよって生産性を向上するなどと言うのはおかしな話で、たとえば管理者は設計(特に基本設計)や現場指導の問題にもっと頭を使えということです。 その精度が競争に勝つか負けるかの要点だと考えています。」』2013/10/31