出版社内容情報
ユーラシア大陸各地域に存在するテュルク系諸民族が語り伝えた英雄叙事詩。勇士アルパムスが活躍する各民族のテクスト群を結集。
内容説明
ユーラシア大陸の広範な地域に存在するテュルク系諸民族が語り伝えた英雄叙事詩の本邦初訳。ギリシアの『オデュッセイア』に似た、勇士アルパムスが活躍する各民族のテクスト群を結集。
目次
アルパムス・バトゥル(カザフ1)
アルパムス・バトゥル(カザフ2)
アルパムシャ(バシュコルト1)
アルパムシャ(バシュコルト2)
アルパムシャ(カザン・タタール)
アルプマムシャン(シベリア・タタール)
アルプ・マナシュ(アルタイ)
アルパムス(カラカルパク版梗概)
アルパミシュ(ウズベク版梗概)
著者等紹介
坂井弘紀[サカイヒロキ]
1969年生まれ。東京外国語大学大学院博士課程単位取得退学。現在、和光大学表現学部教授。専攻、中央ユーラシア文化史、テュルク叙事詩研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaeremakure
1
スカーフを樹に掛けて石を積み上げるというモンゴルの霊地のような儀式をやると、白いターバンを巻いたイスラムの聖者が現れて助けてくれる(しかもユスポフ公家の伝説上の祖先であるババ・チュクレス!)といったムスリム文化と土着信仰の習合した世界観が愉しい。主人公がハーンの娘に求婚に行くと、「私を倒せない男とは結婚しない」といって大岩を投げつけてきたり、街中で馬を疾駆させると衝撃波で窓ガラスが割れたりする超人バトルが繰り広げられる一方で、旅立つ際に馬の首に護符をかける等、遊牧民の生活文化のディティールは勉強になる。2015/09/01
コマイヌ
0
平凡社東洋文庫何冊か読んだけどどれも真面目で面白い。 アルタイ版に顕著だけど馬が強く賢い、馬名を冠して勇士が呼ばれるのが面白い。2024/12/31
Oltmk
0
カザフ、バシュコルト、カザンタタール、シベリアなどユーラシア各地に伝わるテュルク系の英雄叙事詩を翻訳した書籍。一部の内容で銃や窓ガラス、大砲などの中世的なディテールが出てくるが、英雄叙事詩の世界を破綻させる事なく構成しておりこうした内容がどの時代に変化したのか、どこの地域で伝わったのかなどを考えるのもまた楽しい。巻末の解説でもこの物語がどれぐらいテュルク系の人々の価値観などを反映しているかを解説しており、その内容も興味深い。現代でテレビアニメとなっていると言うが日本で日本武尊がアニメにしているのと同じか。2018/10/04