内容説明
イギリス人宣教師が記した清朝末の風俗習慣の記録。外国人が中国文化の中でどのようにふるまうべきか、具体的に丹念に記述する。伝統中国の生活文化を知るために必携の書。写真入り。
目次
個人の身なりと態度
街でのふるまい
訪問時の名刺
役人への訪問
名士への訪問
慶事訪問
病人のお見舞い
喪中の家の訪問
外国人女性の地方訪問
相手の年齢によって態度を変えること〔ほか〕
著者等紹介
田口一郎[タグチイチロウ]
1967年東京生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。新潟大学人文学部助教授を経て、日本大学文理学部教授。専門は中国古典文学、古典学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bitotakeshi
2
タイトル通りの本だが、原題は「Ways that are Dark」で英国では曲解されたりもしたようだ。内容については、多少の誤謬はありつつも(訳者による注釈が入っている)初歩的かつ実践的で読み手を意識したつくりとなっている。だが、個人的に最後の章は不要だと思う。条約についてはお互い様だし、義和団運動のような事件が起こっていることから教会側に非がないと言い切るのはどう考えても無理がある。あくまで当時の見解であるから、仕方がないと言えばそれまでだけども。2016/01/11
しおちゃん
0
1907年頃、布教のため清国に滞在した英国人ウオルシュによる西洋人向け清国作法ガイド。著者は清国社会に溶けこむために、実によく観察をしている。 当時の清国の交流マナー(中~上流階級と思える)が、慎み深くかつ強烈なタテマエ主義であったことがわかる。 結婚式で新郎からのお辞儀に招待客は顔を背ける。なぜなら新郎の礼を「特に自分向けと認めることになる」から・・。 かといって、「新婦からかい」習慣では、友人が結婚後一ヶ月後まで盗み聞き、盗み見を愉しむことがまかり通るなど下品が混在しているのである。2013/07/01
MSTR
0
○ 著述は明治40/1907年のことで、清国と「外国人」との軋轢が根底にあり、その対処法を自分と同じ「外国人」に指南することを目的にした書。 ○ 当時の背景は、『儒教三千年』陳舜臣 (朝日新聞社) が参考になるが、軋轢は、清国がまだ鎖国中の1832年に、そこに入り込もうとする英国東インド会社が、各地でトラブルを起こしていた頃に、既に生まれている。 ○ 日本の敗戦後に入り込んできた進駐軍との関係と同様な境遇が清国にはあったのだろう; その観点から、進駐軍の統治策には、本書が参考になっているような気もする。2022/07/14