東洋文庫
デルスウ・ウザーラ - 沿海州探検行

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  • サイズ 新書判/ページ数 314p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582800555
  • NDC分類 292.925
  • Cコード C0125

出版社内容情報

沿海州ゴリド族の古老,デルスウ・ウザーラ。かずかずの探検行のなかで,彼が発揮する不思議なカンと超論理的なひととなりの魅力。その悲劇的最期によって,デルスウはソ連児童文学の英雄として親しまれている。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

57
20世紀初頭の沿海州探検記。デルスウ・ウザーラとは旅の協力者である土着民の男の名。当時の沿海州は針葉樹の原始林が茂る未開の地。作者は土地の動・植物相や地形を追っていきますが、記憶に残ったのは別のこと。足を濡らす冷たい雨や野営の火の温かさ。そしてその中で出会った人々の生活。作者が最後、たった数年で大きく変わった土地を見出すように、それは速やかに進む植民と開発の前に失われつつあるもので、デルスウの名を冠したこの本は、探検記であると共にデルスウに、あの土地に生きていた人々の面影に捧げられているように思いました。2019/03/26

翔亀

52
梨木香歩さんは極東ロシア沿海州側の複雑に連なる無数の尾根筋と川筋を見て、「これらのほとんどすべてが、頭の中に入っているだろう、デルスウ・ウザーラのような人々の蓄える教養の質」について思いを巡らす(渡りの足跡p175)。本書はロシア陸軍軍人の著者が1906年に行った探検記録。この地域の山や川の地形・地質、鳥、樹、動物、気象の詳細を極めた記述を読むと、軍人なのに研究者以上の教養に驚かされるが、その案内人(友人といってよい)を務めた狩猟ツングース人のデルスウの教養のまさに<質>の違いがまざまざと浮彫りにされる。2015/12/29

おおた

18
「未開の地を歩く」こんなにおもしろいことがあるだろうか。ビニールもライターもない時代に、工夫して道なき道を歩むことを丁寧に記録した一冊。そこに自然を熟知したデルスウ・ウザーラが絡むことで、文明と自然の相混じった観点が生まれてくる。抑えられた筆致の中に突然「きびしい密林がこのような秘密をかくしている!」のように感情があふれ出すところもあり、おもしろい。日本からすごく近いはずなのに地名はまるで呪文のように分かりにくく、苔で覆われて地面が見えないなんて経験は多くの日本人が未経験だろう。探検のおもしろさ。2016/07/11

あずき

16
1907年、著者アルセーニエフが未開地ウスリー地方を調査探検をした記録。デルスウ・ウザーラは探検に同行した案内人である。タイガの森で狩りをしたった一人で生きてきた老人で、彼は鳥や動物、水、火、植物、全てのものを「人」と呼び敬意を払っている。彼の持つ知識や経験が何度も旅の窮地を救う。探検後、老いたデルスウはアルセーニエフと共に街で暮らすようになるが悲しい結末が待っていた。遥か昔デルスウのような力を全ての人が持っていたのだろう。文明とは何なのだろうか。2018/11/07

tama

15
図書館本 書架で東洋文庫を見掛け 映画未 日露戦争間近な頃の露帝国軍人(但し訳者後書きでは、猟・山行好きな義勇兵)による沿海州の調査記で、デルス・ウザーラは雇った猟師で山行の先達(本人は雇われ感覚なし)。彼についての思い出が主ではない。著者の自然観察が精緻。動植物、鉱物、地形を詳述。探査報告文として優れている。「・・・霜で白かった。水溜りには氷が張っていた。薄い氷の下には泡が出来ていた」「ウデヘは異教に対してヨーロッパ人よりはるかに寛容」。文体は馴染みのあるものだったが、いかんせん長い。高級厚表紙本。 2020/03/07

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