感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アカツキ
11
中国・明の時代の伝奇小説集。40巻ほどあったらしいが、わずか4巻ばかりが伝わるのみ。好きなのは、あの世の裁判を受ける「地獄の夢」、「永州の古廟」、「天国の裁判官になった男の話」。「竜王堂の酒宴」では上座に座る范蠡に伍子胥が噛みつくが、現代人の私からすると伍子胥の言い分は「生きている時に良い思いをしたのに、死んでからも良い思いをするつもりか」という妬み僻みに聞こえてしまう。解説に「牡丹灯記」が怪談「牡丹灯籠」になっていく過程が書かれていたが、これがまた面白かった。盛りすぎて元の話が埋もれている。2023/01/25
竜王五代の人
4
中国古典伝奇小説短編集、とはいえわりとおとなしめで素直。登場する異類は幽界のもの、つまり幽霊や地祇のたぐいばっかりだし、大物の「牡丹燈籠」や「申陽の洞窟」をのぞけば、単純な悲恋や因果応報譚だからである。その分、おとぎ話を読むような安心感はある。あと、詩が多め。いい詩を作ったことで竜宮に招待される話があるぐらい。2025/07/09
naniwoyomu
1
おすすめ。 #おもしろい #読みやすい #荒唐無稽 #奇妙
コカブ
1
明代に再興した伝奇小説のはしり。作者の瞿佑は元末から明初の人で、本書の舞台設定もその時代になっている。舞台も作者の故郷(江南)周辺が多い。短編集なのだが、どれも20ページない位の短さなので、ほとんど展開がない。寝る前に読む向け。「牡丹燈籠」「渭塘の奇遇」「秋香亭物語」辺りが良かったかな。段々と形を変えて日本の近世文学に取り入れられていき、上田秋成の「雨月物語」や三遊亭円朝の「牡丹燈籠」にも影響があるというが、もはやほとんど別物だった。ただし解説はこの話をネタバラシしているので、未読の人は注意。2012/11/19
地雷原
0
中国の怪談が特異的に幽霊にやさしいというより、『聊斎志異』がそうなんだな……と改めて思った。2014/01/04