出版社内容情報
授業形式の語り下ろしで「わかりやすい通史」として絶賛を博した半藤一利さんの「昭和史」シリーズ戦前・戦中篇。
日本人はなぜ戦争を繰り返したのか――。
すべての大事件の前には必ず小事件が起こるもの。
国民的熱狂の危険、抽象的観念論への傾倒など、本書に記された五つの教訓は、現在もなお生きている。
折しも2025年は戦後80年、「昭和100年」という節目の年。
日本が同じ過ちを繰り返さないために、今こそ読み直す一冊。
毎日出版文化賞特別賞受賞のシリーズ二冊、待望の新版に!
新版は解説と詳細な索引を新たに付す。
【著者】
半藤一利(はんどう・かずとし)
1930年、東京生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、取締役などを経て作家。著書は『日本のいちばん長い日』『漱石先生ぞな、もし』(正続、新田次郎文学賞)、『ノモンハンの夏』(山本七平賞)、『「真珠湾」の日』(以上、文藝春秋)、『幕末史』(新潮社)、『B面昭和史 1926?1945』『世界史のなかの昭和史』(以上、平凡社)など多数。『昭和史 1926?1945』『昭和史 戦後篇 1945?1989』(平凡社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。2015年、菊池寛賞を受賞。2021年1月12日逝去。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゅんさん
51
すごく読みやすくて分かりやすかった。よく“歴史に学べ”といわれるが、それは私たちが「正しく、きちんと学べば」という条件のもとだと著者は言う。その意思がなければ、歴史はほとんど何も語ってくれないと。私もその姿勢を持って歴史を学び続けたい。そして自分に出来ることは何か自分の頭で考えたい。戦後篇に続く2025/05/31
鮫島英一
25
憲政の神様と呼ばれた犬養毅が統帥権侵害を叫んだのは、政争の道具として北一輝の主張を利用しただけかもしれない。だが統帥権という虚像は彼の思惑を超えて肥大化していく。一方満州では独断専行した石原莞爾が華麗すぎる成功を収めた。石原自身はそれ以上の暴走を望んでいなかったが、圧倒的成功は凡夫の嫉妬と渇望を引き起こす。心理的トリガーが徐々に外れることで誰も彼もが勝手な行動を開始し、やがて手に負えない国家レベルの暴走を生み出した。それが昭和。あの戦争の罪が指導者や政治家ではなく、国民に帰せられた理屈がわかった気がする。2025/09/13
Hatann
14
歴史探偵の半藤一利による昭和通史の新版。戦前篇では戦前・戦中を語る。日露戦争の遺産をもとに、満州を国防の最前線として領土化したところから始まる戦前・戦中の昭和史を、日本が無謀な戦争により遺産を喪失して日清戦争以前に戻る過程だったと総括する。300万人の死者を出して終戦するまでの状況を素描し、国民的熱狂、抽象的な観念論、小集団主義、主観的思考による独善、根拠なき自己過信などを日本人への戒めとして示す。500頁を超える大著ながら、各章ごとにポイントとキーワードが示され、すいすい読める。他の3部作も読みたい。2025/05/11
Gamemaker_K
12
ちょっと前、YouTubeで「フランダースの犬」を全話公開していた。よせばいいのに49話くらいから一気見し、ネロを取り巻く環境が徐々に悪化していき、最終話の号泣必死のシーンにいきつく。それと同じ読後感だった。・・・500ページ読み終わってのまとめが「それにしても何とアホな戦争をしたものか。(中略)ほかの結論はありません」だった。まったくその通りだと思うのだが、今の世の中を見まわしてみるにつけ・・・。2025/03/23
ichigomonogatari
10
500ページを超えているのに、面白くてどんどん読んでしまった。印象に残ったのは、新聞がみな戦争をたくさん取り上げて勇ましいことを言ったこと、そして国民がそれらの記事に熱狂したこと。当時の左翼、社会大衆党は戦争に賛成だったこと。それから、兵站すらきちんと考えないあまりにいいかげんな軍部、ペラペラの戦車の話など・・・2025/06/03




