出版社内容情報
『逝きし世の面影』の著者が近代を総括し生きづらさの根源を問う魂の講義録。旧版刊行時にスタジオジブリの機関紙「熱風」に掲載されたインタビュー「近代のめぐみ」を収録。
内容説明
近代化は衣食住の質向上という恩恵をもたらし、民主主義は人権・自由・平等を確立した。しかし、豊かさと引き換えに私たちは何を失ったのか。『逝きし世の面影』の著者が、これからの世界を生きるために近代の歴史的意味を問い直した名講義録。スタジオジブリの小冊子「熱風」に掲載されたインタビュー「近代のめぐみ」を収録した増補決定版。
目次
第1話 近代と国民国家―自立的民衆世界が消えた
第2話 西洋化としての近代―岡倉天心は正しかったか
第3話 フランス革命再考―近代の幕はあがったのか
第4話 近代のふたつの呪い―近代とは何だったのか
つけたり 大佛次郎のふたつの魂
近代のめぐみ
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年京都市生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。熊本を拠点に、評論家、日本近代史家、思想史家として活躍する。著書に『北一輝』(毎日出版文化賞受賞、ちくま学芸文庫)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞受賞、平凡社ライブラリー)、『黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞受賞、弦書房)、『バテレンの世紀』(読売文学賞受賞、新潮社)など。2022年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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勝浩1958
7
近代がもたらした果実は衣食住の豊かさだが、いっぽうそれら生活水準を高く維持するためには、各国との熾烈な競争に勝たなければならないこと、これがひとつ。もうひとつは、自然の徹底的な収奪により、人間を自然という実在のなかに謙虚に位置付ける感覚を失わせてしまったこと。このふたつが著者のいう近代の呪いです。2024/02/16
Go Extreme
1
近代と国民国家:時代区分 国民の誕生 幕末期の民衆意識 近代の成立要件=自立的民衆正解の解体+知識人の出現 管理社会 国民国家における人間の条件 西洋化としての近代:近代化=西洋化図式 正解を制覇した西洋文明 経済課された世界 西洋モデルの普遍化 西洋近代の贈り物 特殊を通じた普遍の創造 フランス革命再考:アンシアン・レジーム 絶対王政 国民議会 新しい人間→恐怖政治 革命の府の遺産の連鎖 近代のふたつの呪い:近代の所産 身分制社会における平等 世界の人口化 人間中心主義の帰結 近代のめぐみ:進歩と伝統2024/01/25
健康平和研究所
0
近代の2つの呪いとは、国同士の過酷な資源収奪競争と、便利さを追い求め過ぎて世界が人工化し、自分が自然のどの位置にいるかわからなくなっていること2024/02/26