出版社内容情報
損なわれた医師、医療と暴力、看護、最期、災害など7つの主題別に、生と死、理想と現実の狭間を描く14編を収録。医療と文学を?ぐ医療人文学の視点から編まれたアンソロジー。
内容説明
「損なわれた医師」「医療と暴力」「看護」「患者」「女性医師」「最期」「災害」―七つの主題別に、生と死、理想と現実の狭間を描く一四編を収録。医療と文学を繋ぎ、医療をめぐる様々な問題に向き合う医療人文学の視点から編まれた初のアンソロジー。
著者等紹介
ウィリアムズ,W.C.[ウィリアムズ,W.C.] [Williams,William Carlos]
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ。(1883‐1963)。アメリカの詩人・作家。開業医をしながら文筆活動を続けた、いわゆる「医師‐作家」の代表的存在
フィッツジェラルド,F.S.[フィッツジェラルド,F.S.] [Fitzgerald,F.Scott]
F.スコット・フィッツジェラルド。(1896‐1940)。アメリカの作家。華やかなる1920年代「ジャズ・エイジ」の旗手。30年代は妻ゼルダの精神疾患や自身のアルコール依存など不遇の人生を送った
石塚久郎[イシズカヒサオ]
1964年生まれ。専修大学文学部教授。英国エセックス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
19
医師、看護、患者、病気などなどの医療をテーマにした短篇のアンソロジー。なかでも、四肢と視覚を喪った男性と看護婦の間に生まれた物語がおぞましくも迫力で言葉を失うような展開になる「一口の水」(T.K.ブラウン)がすごい。癌の診断を受けた男とその妻を描いた「診断」(イーディス・ウォートン)も、思わぬ方向に転がり続けるお話のラストが苦く、忘れられない。あのコナン・ドイル「ホイランドの医者たち」が当時の女性医師への偏見とそれをひっくり返す終わり方がよかった。広いテーマだけど読み応えのある話が多く面白かったです。2020/12/06
shizuka_電気うさぎ
9
長編の合間の息抜き程度の気持ちで手に取ったら、なんと傑作揃いで大変面白かった。巻末の解説も丁寧で、一編ずつ解説を読みながら理解を深めることができた。2021/11/06
mawaji
6
病短編小説集の続編ということで手に取った、19世紀から現代にかけての医療にまつわる短編アンソロジー。登場人物たちの様子はもちろん古めかしくはありますが、やっていることや考え方は昭和に連綿とつながるものを感じます。お気に入りは「力ずく」「診断」「ホイランドの医者たち」あたり。巻末の石塚久郎先生の医療人文学に対する考察はたいへん興味深く、医療者教育のプログラムに医療人文学を組み入れることは難しければ、とりあえず本書を読んでもらえればと思いました。新型コロナウイルス感染症は全ての人を「医療従事者」にしたのかも。2021/03/25
やぎたに
0
着眼点が本当におもしろい、石塚久郎氏の解説がまた有益。女性医師と植民地インドとの関係を指摘した箇所(352頁)など膝を打った。というのも、初代ハワイ主教の娘として生まれ、医師となってインドに赴任した女性のことを調べたことがあったので(彼女は回想録を出しているが入手困難なのが残念)。印象に残った作品は「一口の水」と「ホイランドの医師たち」。後者で、ドクター・リプリーがなぜ彼女のことを「ミス」・スミスと呼んだのか、その意味を考えている。SurgeonならMissでいいのだけれど。2021/05/20
あたぴょん
0
19世紀、20世紀の医療の実態について知れた2021/03/06