出版社内容情報
『源氏物語』の舞台ともなり、千年以上も続いた貴族の世界。生活・政治のあり方、太政大臣・女院・里内裏の変遷など、その実態を解き明かす。1986年刊の名著、待望の復刊。
内容説明
源氏物語からさぐる平安貴族の生活とくらし、藤原北家の躍進のきっかけとなった“薬子の変”、摂関政権と院政政権の成立過程とその構造、太政大臣・女院・里内裏などの諸制度の沿革と変遷―。一面的に描かれていた歴史像に異論を投げかけ、歴史的事実をさまざまな史料から読み解く、貴族社会の歴史を論ずるに避けては通ることができない古典的名著。
目次
源氏物語の舞台
1(“薬子の変”私考;貴族政権の政治構造)
2(太政大臣沿革考;女院の意義と沿革;里内裏沿革考;院宮分国と知行国再論)
3(“名字”雑考―皇子女の命名を中心として;女帝と摂政;蔵人五位と五位蔵人;古記録誤写誤読;古記録と古天文学)
著者等紹介
橋本義彦[ハシモトヨシヒコ]
1924年北海道釧路市生まれ。東京大学文学部卒業。宮内庁書陵部編修課長を経て、宮内庁正倉院事務所長。専攻、日本古代史。2015年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
14
平安時代・平安貴族を三部にまとめたもの。この手のものはていくつ読んでも興味深くて途中一人でつぶやいて内容につっこんだりしてしまいます。けして全てが分かって読んでるんじゃなくて勘です。貴族の一日、太政大臣の多様、女院の数・・天皇の名字など面白く読ましていただきました。 ひとつ言うと漢字に読みかた書いて欲しいですね。 2020/09/28
まこ
11
今まで平安貴族は生活や文化について色々調べてきたけど、政治の面はあまりなかったのを実感。冒頭の源氏物語と絡んだ解説が作中と実際の比較となって次の章以降に綺麗に繋がってる2022/02/03
nagoyan
11
優。なかなかに難物だった。二度三度とよむと世界が広がるような気もする。本書を読むと平安貴族は、今の政治家などよりよほど勤勉で謙虚だったのだなと変なところで感心。さて、「里内裏」の通説を否定。また、同様に、摂関政所や院庁は、あくまで家政機関であって、国政機関ではない。摂政、院は、太政官制を前提として、それを作動させる仕組みであった。その他、太政大臣、女院、院宮分国と知行国制について主張がある。2020/06/06
chang_ume
9
「里内裏沿革考」(初出1981年)のみ。収録の「歴代皇居略年表」だけでも相当の情報量です。天皇・院の個性が、住居の位置情報から浮かび上がる。里内裏の成立と定着について画期を探ると、里内裏(東三条殿)が実質的に成立した一条、里内裏への居住を繰り返した後冷泉、内裏が焼けずとも里内裏に定住した白河、内裏不使用が続いた鳥羽、内裏の復古がうかがえる二条、閑院に固定した高倉、内裏と閑院で機能分化した後鳥羽、内裏が廃絶した後堀河、閑院が廃絶した後深草、冷泉富小路殿に定着した花園となるだろうか。展開を段階的に理解できた。2020/06/13
ふたば
5
平安時代の貴族社会について、どう形成されていったのか、どのような日常だったのか等、諸々が詳細に記載されている。貴族の邸宅、内裏、命名の規則と非常に興味深い内容だか、とにかく内容が多く、いつも思う事だが、基礎的な素養がなさ過ぎて理解できない所も多々ある。歴史的に有名な公達の人となりも、小説などで描かれているのとは異なっている部分もあるし、当時の政治的な駆け引き等、やはり事実としての歴史を知ることが重要だと改めて思う。時々読み返すべき一冊だろう。2021/01/16
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