出版社内容情報
平凡社ライブラリー
内容説明
トマス・アクィナスによる哲学・神学・信仰の大統合から、ラテン・アヴェロエス主義の危機を経て、ドゥンス・スコトゥス、オッカムの剃刀と“新しい道”の切り拓くスコラ学の大転換。
目次
ディオニュシウス神秘神学註解(アルベルトゥス・マグヌス)
聖書の勧めとその区分(トマス・アクィナス)
聖書の勧め(トマス・アクィナス)
知性の単一性について―アヴェロエス主義者たちに対する論駁(トマス・アクィナス)
最高善について(シュトラスブルクのウルリヒ)
一二七〇年の非難宣言/一二七七年の禁令(パリ司教エティエンヌ・タンピエ)
哲学者たちの誤謬(アエギディウス・ロマヌス)
第一原理についての論考(ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス)
未来の偶然事に関する神の予定と予知についての論考(ウィリアム・オッカム)
巻末エッセイ スコラ学と中世の説教(赤江雄一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
10
托鉢修道会でありながらパリの大学に講座を持つドミニコ会は、ドイツへ派を広げつつ伝統的神学とアリストテレス哲学のあるいは教会の権力と世俗の政治権力の仲介者となり、人間を神の分有としつつ個も許容するトマス・アクィナスの『神学大全』を創出する。が、哲学を講じる文芸学部が力を持ち、神学部から「アヴェロエス主義」と非難を受けるように、大学内の力関係も変容を始める。レコンキスタと十字軍による知の増大が教会システムを揺るがす中、イギリスに渡ったフランシスコ会士はさらに個を追求する(ドゥンス・スコトゥスからオッカムへ)。2020/03/18
いとう・しんご singoito2
1
やっぱり難しいけど、キリスト者として当時の学者達が真摯に神に近づこうとしたその姿勢だけは確実に伝わってくる。経験的な自然学以前なので、どこまでも思弁的なのは仕方ないよね・・・2020/07/04