出版社内容情報
民謡、演歌から宇多田ヒカルまで、私たちの心と身体を揺らしてきた「うた」はどう変わってきたかを徹底解明したあのベストセラーが帰ってきた! 最新研究で大幅改訂・増補。
内容説明
この百年の日本人の心と身体を揺らしてきたのはどんな「うた」だったのか?“和”“洋”“黒”が融合する過程で演歌や歌謡曲が生まれ、うたを受容する日本人の心が変化していくなかで「J‐POP」が育まれる軌跡をスリリングに描く。美空ひばり、フランク永井、森進一、西田佐知子、ザ・スパイダース、キャンディーズ、石川さゆり、さだまさし、サザンオールスターズ、安室奈美恵、そして宇多田ヒカルまで、あの名曲も多数登場。
目次
第1章 J‐POPの「J」とは何か
第2章 和・洋・黒―三つどもえ音階論
第3章 歌謡曲の土着と近代
第4章 「リキミ&ブルース」の成立
第5章 腹に落ちるメロディ―#をめぐる「ソ」の攻防
第6章 ロックする日本のうたを目指して
第7章 日本のうたの生きる道
著者等紹介
佐藤良明[サトウヨシアキ]
アメリカ文学者、ポピュラー音楽研究者。1950年山梨県生まれ、群馬県出身。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科博士課程中退。東京外国語大学外国語学部助教授、東京大学教養学部教授、放送大学教養学部教授などを歴任。アメリカ文化、ポップカルチャーを起点にした研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
15
平凡社ライブラリー4月の新刊。これは過去の佐藤さんの「J-pop進化論」を再び出すことになり、それでは足りないので著者自ら今を含めてかなり(三分の二以上)新たに書き足してます。内容は充実したのでしょうが楽譜や理論的なことが可也専門的すぎて、楽典など欠片の知識のない自分には難しすぎました。『Fを主和音(ホームコード)として!そのナインスの音で始まるわけです。』←なんのこっちゃ?あまりにアカデミックでおじさんは取り残されました。ドミナントやらミクソリディアンを理解出来る方なら楽しめるかも。うーん難しすぎました2019/05/26
unterwelt
1
1999年に出た『J-POP進化論』の増補改訂版で、元本は未読。さて感想はとても難しかったので分かった感じがない。というのも音階やコードの話が多用されているが、その知識が私にはないのでピンと来ない。さらに本で取り上げられている民謡や童謡、歌謡曲へのなじみも薄いためタイトルを出されても頭に音楽が流れないためと推測。ただ興味深い指摘もあり、モータウンとヨナ抜き音階が同じであるとか、「カウンターカルチャー」は「対抗文化」ではなく「逆行文化」と訳した方がその後の高度消費社会とのつながりが整理しやすいとか。2019/09/16
K
1
うたを主題とする日本の大衆文化論。こういう確固たる理論があるとは言い難いものをテーマに本を書けるってすごいな…ヨナ抜きとか長3度とか、音楽側からのアプローチが主で、文字や楽譜を見てメロディーを脳内に流せる人には相当面白い本だと思います。2019/07/08
lovejoy
0
★★2021/01/13
BsBs
0
今小泉理論をやるならこの本を読むくらいでいいという話を聞いたので読んだ。小泉理論では長2度の往復が旋律生成において重要な役割を果たすというのは周知の通りだが、ヨーロッパの一般的な長3度の音階との対比がされていて、古典的な日本音楽における旋律やリズムが具体例も多く分かりやすく説明されていた。また、J-POPのペンタはニロ抜き短調から来ていると思っていたが、世界的に見られるブラックミュージック由来のものであり、連続性はないと喝破されてしまった。勉強になった。 一番面白いコード進行は少ししかなかったのは残念…2023/09/09