出版社内容情報
甲骨文・金文とは何かという総論に加え主な資料を読解し中国古代王朝に迫る4講話。白川文字学の礎となる甲骨金文学の絶好の入門書。
白川 静[シラカワ シズカ]
著・文・その他
内容説明
京都で開かれた伝説の連続講演「文字講話」。本書では、当初予定されていた計二十回を終えたのち、聴衆の熱い要望に応えて追加された四回の講話を収録。甲骨文・金文とは何かという総論に加え、主要な甲骨文・金文の読解から、中国殷周王朝の実像に迫る。他に類を見ない絶好の甲骨金文学入門。
目次
第1話 甲骨文について
第2話 金文について1
第3話 金文について2
第4話 金文について3
著者等紹介
白川静[シラカワシズカ]
1910年、福井県福井市に洋服商の次男として生まれる。小学校卒業後、大阪の法律事務所に住み込みで働きながら夜学へ通う。35年、立命館中学教諭となる。43年、立命館大学法文学部漢文学科卒業、同大学予科の教授となり、54年、同大学文学部教授。81年、立命館大学名誉教授。84年「字統」を刊行、毎日出版文化賞特別賞受賞。91年菊池寛賞、96年度朝日賞受賞。98年文化功労者として顕彰され、99年勲二等瑞宝章を受く。2001年井上靖文化賞受賞、04年11月、文化勲章受章。2006年10月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
著者の原点へのこだわりは、既成の学的権力が寡占する正統性に疑義を唱えることとなるゆえに、誹謗と異端視に耐えることになったが、それは歴史の美化に耐えうるための基点を持つ意志の持続であったという。著者の研究の原点は、甲骨文・金文だろう。音に還元されえない最初の漢字は、動物の骨に刻まれ、青銅器に鋳込まれている。描かれる素材は、どの階級が独占し(巫祝階級)、どんな地形から発掘されたか(墳墓でなく山際)という問いを生む。そして諸部分からなる画はそれ自体意味を持ち、神を信仰する殷から天を信じる周への王権の移行を示す。2021/01/06
さとうしん
6
文字講話シリーズの総論的な位置づけ。特に金文に関して、講演当時(2005年)頃の著作集別巻本『金文通釈』の刊行を踏まえ、当時の新出金文をふんだんに取り上げたり、それらを資料として加えつつ西周紀年の暦譜再現の話を展開しているのが印象的。2018/02/27
Ise Tsuyoshi
1
伝説的な連続講演「文字講話」のうち、白川静氏が亡くなる少し前に開催された4回分の講話。神聖王朝たる殷、古代日本との類似点、周の天命思想などが、甲骨文・金文の豊富な用例を通じて語られる。専門的で難しいところもあるが、第4回の前半で第1~3回の内容を要約して語る部分があるので、白川氏の著作に馴染みのない人は、最初にここを読んでおくと、その他の部分も読みやすくなると思う。2020/12/14
Keiichi Momoi
0
1.甲骨文について 2.金文についてⅠ 3.金文についてⅡ 4.金文についてⅢ2018/05/23