出版社内容情報
誘う女と誘わない女、水の精、ファム・ファタル……、ショパン、ドビュッシー、ラヴェルらを貫くイメージ群。
青柳 いづみこ[アオヤギ イヅミコ]
著・文・その他
内容説明
「メリザンドのようなオンディーヌ?」―留学中にきざした疑問からすべては始まった。誘う女と誘わない女、古からの水の精の表象、文学・美術にわたるファム・ファタル像…。ショパン、ドビュッシー、ラヴェルらに通底する強迫的なまでのイメージ群を渉猟した音楽文化論。クラシック業界の内情を虚実とりまぜて描いた「さらば、ピアノよ!」を付す。
目次
第1章 水の精のイメージ
第2章 善い水の精と悪い水の精
第3章 創作された水の精
第4章 魔界と人間界
第5章 音楽になった水の精
第6章 『ペレアスとメリザンド』とおとぎばなし
第7章 『ペレアスとメリザンド』のドラマ構造
第8章 「宿命の女」と「つれなき美女」
第9章 メリザンドと水
第10章 水の音楽
付録 さらば、ピアノよ!
著者等紹介
青柳いづみこ[アオヤギイズミコ]
ピアニスト、文筆家。大阪音楽大学教授、神戸女学院大学講師。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。東京藝術大学大学院博士課程修了。安川加壽子、ピエール・バルビゼ両氏に師事。著書に『翼のはえた指』(吉田秀和賞)、『青柳瑞穂の生涯』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『六本指のゴルトベルク』(講談社エッセイ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
3
ホフマン(1776-1822)は、もとウィルヘルムという名だったが、尊敬するモーツァルトへの傾倒から、アマデウスと改名したとか、生活の実務においては法律家として過ごしたが、人生の大半を音楽家として過ごしたとか、である。 本書は、副題が「オンディーヌとメリザンド」とある通り、水(の精)の音楽の背景を神話などからの変遷を巡りつつ探求したもので、ホフマンも、フケーの『ウンディーネ』を読んでオペラ化したということで、採り上げられているのである。
茅野
1
長らく読もうと思って読めていなかった本。特に前半は情報量が多いが、簡潔で読み易い。神話、民話、童話、文学、音楽を行ったり来たり混ぜ合わせたりしながら展開していく。良書。2020/03/22
akuragitatata
1
最後の小説がクラシック産業の、それでもいまより明るかった時代の闇を照らしだしてて闇って感じでした。かなり知識がないと読めない本ではありますが、文章がきれい。2018/08/13