出版社内容情報
兄弟、友人、年の差カップル――やおい文化勃興前の19世紀末~20世紀半ば、独仏英などの女性により綴られていた男同士の物語。
【著者紹介】
フランスの作家
内容説明
“やおい”とは、「女子たちが男性同士のホモエロティックな物語を書き、読み、話題にする」サブカルチャー。一九七〇年代半ば頃、アニメやマンガなどのファンダムから出現したとされるが、それより前の一九世紀後半から二〇世紀半ば、すでに各国の女性作家たちにより、男性同士の物語が書かれていた。これらの作品を、“やおい”の系譜の中に捉え直し、今やジャンルとして確立した“BL(ボーイズ・ラブ)”の先駆として紹介する初の試み。
著者等紹介
ラシルド[ラシルド] [Rachilde]
1860‐1953。本名Marguerite Eymery。フランス世紀末文学を代表する女性作家で、異性装を実践しながら同性愛やトランス・ジェンダーを扱った作品を多く残している
森茉莉[モリマリ]
1903‐87。小説家、エッセイスト。東京生まれ。父森鴎外の深い愛を受けて育つ
笠間千浪[カサマチナミ]
神奈川大学人間科学部教授。早稲田大学大学院修了、博士(人間科学)。社会学、ジェンダー研究専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
35
有沢さんから勧められた本でした。時々、平凡社は『ゲイ短編小説集』といい、『レズビアン短編小説集』といい、センセーショナルな題名のアンソロジーを出すよね・・・。BLというよりもJUNE。ラシルドの『自然を逸する者たち』は弟を妹として愛する兄という兄弟の近親相姦というダブルミーニング的題名に唸りました。でも個人的には森茉莉は『恋人たちの森』より、SMを美少年に教え込むことで寝盗った結果、破滅を招いた『枯葉の寝床』の方が耽美性と背徳感があって良かったんじゃないかしらと思います。2015/09/01
くさてる
17
BLというよりはJUNE。というのが最初の印象。昔のJUNE(雑誌)が、こういう古典文学のなかからも、そういう匂いのする作品を探しだしては紹介する役割も果たしていたように記憶しているだろう。長編の抄訳も多い為、読みにくいところも多いけれど、それぞれ個性が合って良かった。個人的には、森茉莉「恋人たちの森」が最高傑作ですが、作品的にいちばん面白かったのは、ブラッドリー+ウェルズ「もうひとつのイヴ物語」でした。2015/07/07
みやの はるか
7
BLというジャンルが成立する前の小説を収録したアンソロジー。BLの定義を「女性作家が書いた、男性同士の性愛を扱う物語」としている。BLを読み慣れている人は「想像と違った」と戸惑うことになるだろう(私もその一人だ)。なので、解説まで読むことをおすすめする。それが収録作品よりも面白いと感じても悪いことではないので大丈夫だ! 個人的には、編者の笠間氏が執筆中という本が気になるのだが…。2015/08/16
かやは
6
「やおいサブカルチャー出現以前の女性作家によるBL小説」を紹介した一冊。現代のBL小説と比べてしまうと、当たり前かもしれないがかなり刺激が少ない。ひたすら台詞と行動、情景描写。二十数年前発行のBL小説を読んだときにも感じたが、BL小説の文体はかなり時代性が反映されるようだ。森茉莉の作品で「セーター」が「スウェータァ」となっていて、そういえばいつの時代からカタカナ語は統一されたのかなあと思った。2019/02/28
kat
5
BLというよりはやおいとかJUNEとか、そんな感じでした。読みにくい作品もあったけど、興味深かかったです。最後のSF作家さんは、もっと他の作品も読んでみたい。2015/07/01
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