出版社内容情報
四半世紀前、アルコール添加なしの純米酒だけを造ると決めた酒屋がいた。国税局、メーカー、販売店等々と闘いながら賛同者を獲得してゆく苦闘。酒好き必読のドキュメント。解説=太田和彦
内容説明
醸造用アルコールが添加された酒が、今なお主流の座を占めるなか、「酒は純米酒」を決意して立ち上がった酒蔵がある。酒どころとはいい難い埼玉県蓮田市の小さな蔵元、神亀酒造だ。四半世紀に及ぶ、その知られざる闘いに迫った初のノンフィクション。
目次
第1章 白ワインに負けぬ酒
第2章 女の細腕で守った蔵
第3章 トトロの森で醸す
第4章 農への心意気
第5章 万華鏡の酒
第6章 酒蔵再生
著者等紹介
上野敏彦[ウエノトシヒコ]
1955年、神奈川県生まれ。記録作家、ジャーナリスト。横浜国立大学経済学部卒業後、79年より共同通信記者。社会部次長、宮崎支局長を経て編集委員兼論説委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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izw
16
全国に先駆けて1987年に清酒製造量をすべて純米酒に切り替えた酒蔵、神亀酒造の小川原良征の純米酒にかける熱意が伝わってくる。純米酒だけが日本酒であり、米以外から作ったアルコールを添加するとリキュールとする考えはなるほどと納得。丁寧にきちんと作られた純米酒は、長期熟成すれば旨みが増し、燗で飲むのが美味しいという。古川修や上原浩の著作でも繰り返し主張されているが、この暑いなかどうしても冷酒から離れられず、なかなかその域に達しない未熟者です。2015/08/15
MOKIZAN
11
お燗で飲む純米酒でお馴染み、神亀酒造の蔵元小川原氏と、その酒造り、他の酒蔵との繋がり等、同社の歩み全般を記した本。純米酒への拘りとそれに共感、同調してゆく酒蔵や料理店との心の関わりは、まさに徳利を前して、語りで聞きたい話だった。私の好きな川西酒造も氏の指導を仰いでいたとは、敬服する。決して読み手を選ばず、退屈させないとは思いますが、日本酒好きにとっては楽しくて、ページを捲る手が止まらないのは勿論、ひたすら酒が恋しくなるし、喉を鍛えなくてはと己を叱咤したくなる内容。そうか、神田・新八は割烹だったのか。2015/10/01
みんみん
8
またまた日本酒の話。コメ不足でアル添全盛期だった時代に水と米だけの純米酒に挑戦した神亀酒造。小川原のこだわり、日本酒業界に対する発信力がすごい。でも私は冷やで、「美味しいお米とお水で作りました」と言うのが伝わる日本酒が好きです。2017/02/24
ophiuchi
6
神亀は随分前に一度だけ飲んだことがあり、美味しいお酒として頭にインプットされています。美味しい純米酒を造る蔵は全国にあり、年々レベルが上がっていますが、経営的に大変だということが分かりました。ぜひ多くの人にちゃんとした日本酒を飲んでほしいと思います。2013/03/27
たらこりっぷ
6
埼玉県にある酒蔵で、酒造りにいかに闘っているかがわかる本です。神亀というお酒は以前から居酒屋で飲んでいて気に入っている味でした。その作り手にこんな話があるとは全く知りませんでした。読んでいると、もう飲みたくてたまらなくなります。カッコつけた純米吟醸など吹き飛んでしまうような力を文章からも感じます。こういう人たちが酒造りを続けていくためにも、美味しく飲んで応援しようと決意いたしました。2012/09/26