内容説明
体をください…。現代アートで甦る澁澤龍彦。
著者等紹介
澁澤龍彦[シブサワタツヒコ]
1928(昭和3)年、東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。サドをはじめとするヨーロッパ暗黒・異端文学の第一人者。政治の季節といわれた60年代に、『神聖受胎』『毒薬の手帖』『夢の宇宙誌』などの著作で、文学・芸術の視点から脱マルクス的思想を送り出し、文壇の左翼的土壌に激震を起こす。59年に翻訳したサドの『悪徳の栄え』が猥褻書とされ発禁処分(60年)となる。80年代以降は日本の古典によった独自の幻想文学の世界を確立。『唐草物語』(泉鏡花文学賞)、『うつろ舟』、『高丘新王航海記』(読売文学賞)などの傑作を生む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kasim
33
一見通常の平凡社ライブラリーだが、実はハードカバーでフルカラーの絵が何枚も入り、手のひらに載るサイズで贅沢な本。10年以上前に鴻池朋子さんの絵を初めて美術館で見た時は、不気味さに心がざわついたものの、野生の生き物、特に狼が忘れられなかった。これは狐の物語。玲瓏と輝く狐玉の魔力に翻弄される左少将は、力と美を備えていても心根は卑しい。逆に薄幸の北の方の最後の行為に人の心を見る。絵は耽美的な物語に添いすぎることなく独自の世界を示していて類まれなコラボレーションとなっている。2022/08/12
い
6
狐の子を産んだ北の方。身に覚えがない出産の真相と、狐との出会いと別れ……北の方の感情の機微は繊細で儚いが、この小説の主軸は星丸だろう。父親を越えようと母親を抑えつけようとする傲慢さは、その時代特有のエゴであるような印象を受けた。いつだって、利用される者はいて、その連鎖は狐玉のように続いていくのだと思う。鴻池朋子の絵は、澁澤の世界観には寄せていないのだが、モチーフは見事にマッチしていて素晴らしかった。2023/08/11
タリコ
2
とても好きだ!と思う幻想的な描写がたくさん。メタ的に作者が割り込んでくるのも嫌いじゃない。ストーリー的には北の方が不憫だし、左少将は業が深いのに特段報いを受けることもなく星丸が全ての業を背負わされたような気がするのはなんなん?と思うし、しかし陶酔の中で逝けたのは幸福なのかなとも思う。さあ、狐玉は何処へ。2023/01/10
おかだん
2
師匠的な存在な澁澤先生だけど、創作となると今ひとつ。話自体は幽玄でいいのだけれど、いきなり割り込んで解説されるとゲンナリする。「高岳親王…」も途中で挫折したなあ。鴨池氏の挿絵はスペシャルで一体化していたので読み進められた。「存在の不安」澁澤氏だから許されるし、もう持ち芸として確率されてるけど、もう今書かれていたら古臭い上に炎上必至だよね。フロイトかー。2019/04/04
月と星
1
★★★ストーリーも挿絵も素晴らしい。これで本当に子ども向けなのだろうか。2019/04/26




