内容説明
自分にとって大切な本を読み返してみませんか。その営みは、忘れていた自分の感性や思索の煌きを手繰り寄せ、これからの人生を味わい深いものにするに違いない。作家柳田邦男が若き日にこよなく愛した、井上靖『あすなろ物語』からゴーゴリ『外套』まで、名作二四編との再会の手記。心の歴程を旅する柳田式「再読」のすすめ。
目次
青春について(井上靖『あすなろ物語』―自己形成の情景;ヘルマン・ヘッセ『青春彷徨 ペーター・カーメンチント』―二十七歳で人生を使い古して ほか)
悲しみについて(森鴎外「最後の一句」「高瀬舟」―昔物語と当世人情事情;志賀直哉「小僧の神様」―トリックスターに魅せられて ほか)
生き方について(有島武郎『生れ出ずる悩み』―画家を目指す青年の暗愁;島崎藤村『千曲川のスケッチ』―百姓への愛着と文学革命 ほか)
人間について(大岡昇平『野火』―剣を持つ右手を抑えた左手;アルベール・カミュ『異邦人』―体制の暗喩としての「太陽」 ほか)
著者等紹介
柳田邦男[ヤナギダクニオ]
1936年、栃木県鹿沼市生まれ。作家。さまざまな社会問題・医療問題などのノンフィクション作品や評論を執筆、最近は心の問題、言葉や絵本についても積極的な活動を展開している。『マッハの恐怖』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞(1972)、『犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日』などで第43回菊池寛賞(1995)など、受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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