内容説明
根を絶たれ、奴隷の生を強制された黒人たち。彼ら彼女らの魂の叫び「ブルース」には、何世代にもわたる悲痛な歴史が刻まれている。ブルースの成立からジャズの誕生、そしてビバップへ―時代が変われども、変わらずに脈打つ精神。正史の陰に隠れた黒いアメリカ史がここにある。
目次
ニグロはアメリカ人にあらず―いくつかの背景
所有物としてのニグロ
アフリカの奴隷/アメリカの奴隷―その音楽
アフロ・キリスト教音楽と宗教
奴隷と奴隷解放後
初期のブルース、初期のジャズ
クラシック・ブルース
都市
中産階級現わる
スウィング―動詞から名詞へ
ブルース連続体
モダン・シーン
著者等紹介
ジョーンズ,リロイ[ジョーンズ,リロイ][Jones,LeRoi]
1934‐。ニュージャージー州ニューアーク生まれの詩人、脚本家、小説家にして、20世紀アメリカを代表する論客のひとり。60年代、ブラック・ナショナリストの立場から、アフリカ中南部の言葉で「魂の指導者、祝福されし王子」を意味するイマム・アメール・バラカと改名(のちにアミリ・バラカと短縮)。70年代にはマルクス主義に転向し、過激な政治的発言は今日に至るまで後を絶たない
飯野友幸[イイノトモユキ]
1955年、東京生まれ、上智大学文学部英文学科教授。アメリカ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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k.m.joe
5
ブルースを礎に発展して行った黒人音楽の姿を丁寧に解説してある。特に私はジャズに弱いので大いに参考に。意見が極端という見方もあるが、それは強引さではなく熱意だと思う。自分自身で消化すれば良い事。黒人音楽ファンにとっては無視できない名著。2011/09/09
河村祐介
2
いかに非人道的な所作によってブルースないしは、その後のポップミュージックの礎が生み出されたのか。悲劇的な歴史に目を向けるためのBLM的古典。2020/11/09
オオシマトモヒロ
2
リロイ・ジョーンズによる、ブルースという黒人音楽を通じたアメリカにおける文化人類学の本。一種強烈な異物感や拒否感さえ生みうる(それは音楽構造としても)を主軸においた本とし秀逸な研究
Takuo Iwamaru
2
あるときブルースが12小節の音楽形式と知る。泥臭く、特に好きとも思わなかったが、いつしか自ら鍵盤で弾くようになった。単なるお勉強のつもりが、上手く弾けないのが悔しく、だが技術以上に大事なのはそれを自分のものとして歌い上げることだと感じる。世にブルース形式の曲が無数にあることを知り、しかしブルースには西洋の音楽理論では説明のつかない謎があるという。無理矢理、楽譜という西洋音楽の形式に押し込めたそうな。絵画における遠近法、思考における三段論法など、形式というにはあまりに人間の本性に直結した音。それがブルース。2015/12/04
kj54
1
原著は1963年刊行。音楽之友社から1965年に出た旧約版で読了。2022/08/09