内容説明
一九六〇年代以降、物象化論に立つ思想家としてこの国のマルクス主義理論をリードした廣松は、同時に、現代日本を代表する“哲学する哲学者”だった。「物的世界像から事的世界観」へと、近代的世界観の地平を超え出ようとするその哲学的思考・構想のエッセンスを一書に編む。思想形成の軌跡をたどる懇切な解説を加え、読者を一挙に廣松哲学の中枢へと連れ出す一冊。
目次
世界の共同主観的存在構造
言語の意味と認識の問題
歴史的世界の協働的存立構造
共同主観性の存在論的基礎
物的世界像の問題論的構制
事の現相学への序奏―「知覚的分節」の次元に即して
著者等紹介
廣松渉[ヒロマツワタル]
1933年生まれ。東京大学大学院哲学科博士課程修了。元東京大学教授。専攻は哲学。1994年没。戦後日本を代表する哲学者のひとり
熊野純彦[クマノスミヒコ]
1958年、神奈川県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。同大学大学院博士課程単位取得退学。現在、東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
1
十年以上手にとっていなかった廣松の著作を久しぶりに手に取った。一時期は「廣松はもういい」と思っていたのだけれど、改めて読んでみると、かつて闇雲に廣松の著作を読んでいたときの理解の程がいかに浅はかなものであったかということを思い知らされ、まさに汗顔の至りであった。とりあえずこのテキストを読んで廣松のライフ・ワークというべき『存在と意味』を読んでみたくなった。2009/11/20
Kubotan
0
これは広松渉の論文を体系的に集めた論文集。「存在と意味」よりも読みやすいかもしれない。2014/05/20
hmpndrf
0
熊野の解説が充実。2013/04/04