内容説明
三月も終わりにかけて、田舎では果樹園はもはや花の盛りを過ぎ、野の鳥の歌声も初音の初々しさを失うころ、紫の“春の庭”は日ごとに魅力を増してゆくとしか見えなかった(「胡蝶」)―ウェイリーの英訳を忠実に日本語訳した二十世紀小説“源氏”、第2巻は「澪標」から「野分」、光源氏の栄雅の頂点とかすかに兆す老いと凋落。
目次
賢木(つづき)(潮位標(澪標)
深い森の屋敷(蓬生)
国境でのめぐり逢い(関屋)
絵合
松風)
雲の渦(雲の渦(薄雲)
朝顔
少女
玉鬘
年の最初の歌(初音)
胡蝶
蛍
撫子の花壇(常夏)
篝火
野分)
著者等紹介
ウェイリー,アーサー[ウェイリー,アーサー][Waley,Arthur]
1889‐1966。イギリスの東洋学者。ケンブリッジ大学古典学科を卒業後、大英博物館に勤めつつ独学で日本語・中国語をマスターし、『中国詩百七十篇』を手はじめに、漢詩や日本古典文学の翻訳を手がける
佐復秀樹[サマタヒデキ]
1952年、渋川市生まれ。翻訳家。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻、イギリス演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
羊山羊
4
源氏は京に帰り咲き、天皇の側近として権力の絶頂をほしいままにする。その中で源氏は都に迎えた明石の君や他の女、正妻との逢瀬や政治に没頭してゆく。源氏の強権ぶりや我儘ぶりも増していって、心穏やかではない女たちの心が輝きを増してゆく。左右社版と比べると、表現が圧倒的にカタい。これで読むなら角田光代版でも…と思ってしまう。話のあらすじをしっかりと把握してから別バージョンで挑戦してみたい。2020/01/03
shou
4
源氏の栄光の頂点。日本語だとなめらかな音の流れの中に埋没して和らげられているマイナス表現が、わりと露骨になっていたりして、より突き放した冷静な視点に見える。近江の君はむしろ現代的な女性に見えた。2013/11/16
marinefrancaise
1
ウェイリーさん、独学で中国語と日本語を勉強したイギリス人。すごいですな。
人民の指導者
0
すらすら読み進めることができました。英語からの重訳もなかなかいい。2011/06/16