内容説明
光源氏…こんな名前をもった者は、じろじろ見つめられたり、嫉妬ぶかく非難されたりすることを逃れられない、そしてほんのちょっとした戯れの恋でさえものちの世の人々に広く伝わってしまうだろう、そう彼は知っていた「帚木」―ウェイリーの英訳をいまの日本語に忠実にうつすとあら不思議!最も読みやすい二十世紀小説“源氏”誕生。
目次
源氏物語
賢木
著者等紹介
ウェイリー,アーサー[ウェイリー,アーサー][Waley,Arthur]
1889‐1966。イギリスの東洋学者。ケンブリッジ大学古典学科を卒業後、大英博物館に勤めつつ独学で日本語・中国語をマスターし、『中国詩百七十篇』を手はじめに、漢詩や日本古典文学の翻訳を手がける。原詩のリズムを写した漢詩英訳は英詩の新しい詩法を編み出すことにつながり、『源氏物語』の訳はスコット=モンクリーフのプルーストの訳とともに20世紀のイギリス散文に大きな影響を与えたといわれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
28
今から千年もの昔、ここまで見事に心情の機微、人間の業を描いた小説が日本に存在したことに感動します。古文の授業では親近感が湧かなかった題材が、英訳を和訳する現代語訳により飛躍的に『楽しめる物語』になっています。某新聞で円城塔さんがオススメしていたのですが、読んで良かった!2015/08/05
かもめ通信
24
ウェイリーによる英訳『源氏物語』を日本語に訳したというこの本。おそらくは日本語から英語に翻訳される過程でそぎ落とされているものもあれば、英語圏の読者のために十二分に補われているものもあって非常に興味深い。十二単や直衣を身にまとっていなくても、たとえ平安調特有のあれこれがすっかりそぎ落とされていたとしても、舞台が日本でなくっても、この話は物語として間違いなく面白かったんだ!とあらためて気づかせてくれた。2016/06/08
ぶ~の
5
とても面白い読書体験でした。冒頭では頭の中に原文が浮かんできて、あれがこうなるのかと感心したり、解説に文化の違いを感じたり。レビューに「千夜一夜」と「ジェーン・エア」と「嵐が丘」をいっぺんに読んでる気分になったと書かれた方がいらしたのですが、ものすごく頷けます。現代語訳も読みたくなったのですが派生作品も気になるし漫画も様々な解釈のものが出ているしキリがないかも。こんなに長く愛されて読み継がれ続けている源氏物語って本当にすごい。2025/05/10
おおとろ|内省的ストーリーテラー
5
☆☆☆☆☆ ハードカバーの新刊を4冊買い直して、もう一度読んでからレビューを書く。2019/11/20
shou
4
ウェイリーが古典独特の言葉や文化をどう訳したのか、或いはあちらのどんな階級概念に当てはまるのか(を日本語でw)知りたかったのだけど、思ったより和訳に戻されている印象。それでも空蝉がスカーフを落としたりするのが面白い。2013/10/17
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