内容説明
古代蝦夷の社会とは?阿弖流為ら、古代蝦夷の族長たちの活躍、蝦夷と政府・和人との軍事的衝突・交流をはじめ、平泉藤原氏の時代、アイヌ民族の成立まで。アイヌ社会やゲルマン人の社会とも比較しながら、古代から中世にかけての蝦夷の社会構造に迫る。
目次
第1章 蝦夷アイヌ説と蝦夷日本人説をめぐって(新井白石、本居宣長など、江戸時代の蝦夷アイヌ説;石器時代人コロボックル説 ほか)
第2章 「エミシ」から「エゾ」へ(「エミシ」と「エゾ」;「エミシ」がひろく東国人を意味した時期―第一段階 ほか)
第3章 北日本の古代文化(縄文文化;縄文文化以後 ほか)
第4章 蝦夷の社会構造(族長層の出現と末期古墳;古代蝦夷の「~村」 ほか)
第5章 英雄の後裔(前九年の合戦;清原氏 ほか)
著者等紹介
工藤雅樹[クドウマサキ]
1937年、岩手県生まれ。東北大学文学部史学科卒業。東北歴史資料館、福島大学行政社会学部教授を経て、同大学名誉教授、博士(文学)、東北歴史博物館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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魚京童!
24
えみしえみしえみしって感じだ。えぞだろうとなんでもいいけど、何だろうね。言葉が違うよね。語感が違うよね。当て字が中国と同じで侮蔑するようになっているとはいえ読みが違うのはなんでだろうね。飲み込まれているよね。飲み込んだのかもしれないけどさ。どこかで争う、戦うときがくる。そうなったときに戦意高揚する必要があるからね。虐殺するにはヒトでない証明がいるからね。しょうがないよね。我々とは異なるということを高らかに知ろ示す必要があるからね。だからこそ、滅んで当然なのだという必要がある。同じだと仲間割れになっちゃうか2020/02/14
てん06
14
英雄時代とあるから、阿弖流為などの話が中心かと思えばそうではない。蝦夷とは何かを考古学、地名、アイヌのユーカラと世界の叙事詩から多面的に論じている。中央政府の支配が完全には及ばなかった東北地方で蝦夷は古代国家こそ作らなかったがどのような集団を作っていたのか。いわゆる学校で教える日本史では学べない多面的な内容。2021/07/19
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
11
日本人て誰なの?という疑問の川を遡って読んでみた。が、意図するところと違う源流に入り込んだので目的をアイヌ民族の興亡という部分にクローズアップしてみた。邪馬台国がどこにあったかという議論と同じで、蝦夷とは何かという検証はできないのだが、これまでの研究結果から結論を探ろうとする考察にはわりと説得力があったと思う。とんでもない仮説をぶ立てて古代への妄想を膨らませ、浪漫飛行へとインデスカイするのが楽しい。2014/07/08
印度 洋一郎
2
まつろわぬ民「蝦夷」は一体どういう人々だったのか?エミシと呼ばれた人々が古代から中世にかけて、実は変質していたことを文献史料の中の「蝦夷」という言葉の使われ方から分析。そして、続縄文時代やアイヌ文化にも目配りしつつ、その社会形態への考察へと進む。そこで導き出されたのは、氏族集団が離合集散を繰り返し、危機に際しては臨時の軍事指導者である「英雄」が率いる、古代国家寸前の段階である英雄社会だったという。アテルイはその代表であり、ヨーロッパのケルト人やゲルマン人、ネイティブ・アメリカンのような社会だったのだ。2010/10/27
三休
1
アイヌ語を話していた人々が日本語を話すようになる過程について、なぜ考古学的に語らないのかが不思議です。2015/03/25