内容説明
抜きがたい男根主義。エロスの破壊力に賭けた革命思想の矛盾。
目次
第1部 シュルレアリスムの希望(シュルレアリスムにおける性的ファクターの意味と重要性;破壊力としてのエロス;マルクス主義革命者における性的ファクターの位置 ほか)
第2部 シュルレアリスムの作品(女性;(原初のアンドロギュノスの回復;自然としての女性、「善良な女」 ほか)
普遍化されたリビドー(自由な性;性的倒錯 ほか))
第3部 シュルレアリスムの諸相(シュルレアリスムの作品は、母親との関係こそ、世界との関係を構造化する原型になっていることを明らかにする;こうした関係は空想的なものとも言える。そのため芸術家は、狂人、反社会的存在、さらには子どもだとされる;狂気のシュルレアリスムからシュルレアリスムの狂気へ ほか)
著者等紹介
ゴーチェ,グザヴィエル[ゴーチェ,グザヴィエル][Gauthier,Xavi`ere]
1942―。文学、美学、哲学、心理学等を修め、文芸誌の編集、スイユ書店の児童書担当を経て、パリ大学、ボルドー第3大学の講師、CNRS(フランス国立科学研究センター)の研究員などを務める。フランスで著名な女性解放論者の一人である
三好郁朗[ミヨシイクオ]
1939年生まれ。京都嵯峨芸術大学学長、京都大学名誉教授。フランス文学
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感想・レビュー
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∃.狂茶党
8
シュルレアリズムは野蛮にして神聖なる、始原に回帰せんとする。 しかしそれは、フロイト的母と息子の関係だ。 トロツキーの語る、裏切られた革命、母性賛美が権力による搾取であるように、(ナチスなどの極右も、資本主義も、キリスト教も同じく)シュルレアリストは神聖なる女性を言葉で称えつつ、絵画において陵辱する。 赤子がひたすらに母を消費するように。 こういったことは、アイドル産業、ポルノ産業、また日経新聞の広告が自身の参加する、「アンステレオタイプアライアンス」に違反した事例などにも繋がる。 2022/04/16
伊野
1
一見しただけでは何がなんだか解らない芸術運動、シュルレアリスム。本書によると芸術とは、「想像的なものによる、象徴的秩序の破壊の場」であるのだから、バックグラウンドをある程度承知していないと見えない観念もあるのである。この本では、おもにシュルレアリスム(ブルトン)のブルジョワ的男根思想を越えられない、ある種潔癖な点を批判している。ところで、こういう系統の本を読んでいると、去勢への恐怖というのをたびたび目にするのだけど、ちょっと捉え難い。ダリが女性に「委託しないでね」と懇願したというのも、不思議で仕方ない。2012/04/26
杏子
0
さまざまな女性観、男性によって高められ、貶められ、畏れられ、軽侮される。2015/02/05
とまる
0
フロイト寄り。性の病理的破壊力や社会的運動について語られるが題から連想されるより社会・芸術色は薄く精神分析的。2011/05/27
今を生きる
0
7割くらいまでざっとゆっくり読み。こんなに性に繋がるんだ😮2024/12/10