内容説明
日本人の米に対する強い志向と肉食を禁忌とする意識は、いかに形成されてきたのか。それは、天皇および天皇制、差別、農耕と狩猟など、日本史をめぐる重要なテーマに、どのように関連しているのか。食文化の歴史を日本史研究のなかに、初めて正当に位置づけた問題の書。
目次
序章 近代における米と肉
第1章 米文化の形成と天皇
第2章 米への収斂と肉食の禁忌
第3章 肉食禁忌の浸透と神仏
第4章 米の収奪と水田の展開
第5章 肉の否定と差別の進行
第6章 米と肉と国家領域
終章 近世における米と肉
著者等紹介
原田信男[ハラダノブオ]
1949年、栃木県生まれ。明治大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程退学。博士(史学)。札幌大学女子短期大学部教授を経て、国士舘大学21世紀アジア学部教授。専攻、日本文化論、日本生活文化史。主な著書に、『江戸の料理史』(中公新書、サントリー学芸賞)などがある
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
15
肉食・屠畜のタブーと米礼賛という日本人の心性成立過程を探る試み。古代においては賤視されていなかった動物の肉がタブー視される背景を明確に理解できる! というよりは、明確には理解し得ない程に、様々な要因によってそれがひろがったということを理解できた。一粒が稲穂となるというコスパの良さは、手間暇と願掛けをするに値する植物であり、凶作は人々が一番おそれる事態である。そのため凶作の理由として、自然への畏怖が、動物を殺した祟りという語りになる。あとは仏教思想、米は金なりの年貢米制度、死肉を喰らうことへのケガレなど…2014/06/23
アメヲトコ
4
前近代の日本での肉食禁忌はどのように形成されてきたのか。肉の対極に聖なる米を位置づけ、天皇とケガレと差別の問題に分け入っていく一冊。やや二項対立の図式が勝ちすぎな感じはしますが、東アジアの文脈の中に位置づける視野の広さがあって刺激的。原著は93年刊で、05年にライブラリー化にあたって、原著刊行時に寄せられた批判に対する応答と若干のフォローアップがされています。ゴッドハンド事件も微妙に関わっているのね。2017/09/14
ひろ
4
弥生期には稲作と同時に豚の飼育と屠殺を行っていた日本人だったが、律令制の整備の課程で天皇を中心とする国家体制確立と大乗仏教の導入、大乗仏教思想の神道への影響という思想的・政治的背景、農耕に不可欠な牛馬の屠殺をタブー視する生産上の合理性により肉食禁忌が広まった。豊富な文献と史料から日本人の米と肉への態度の変遷を描き出し、身分制度、宗教、政治体制といった分野への関連を導く。肉食忌避は日本史上差別構造を導いてきたので、動物が「食べられるために生まれてきたんじゃない」とするのは日本では政治的に誤りでは(暴論)2014/02/01
いちはじめ
4
網野善彦は米作中心の史観を批判したが、この人の場合、米にこだわり抜いて、結果的に網野と一脈通じるような地平に立っている観があるのが面白い。2005/06/27
ひろただでござる
2
図書館本。肉食の禁忌と米がどう結びつくんやろ?で読んだけど思いの外興味深かった。残された文献や資料からは「どんな意図で何をしようとしていたか」や「それはどんな影響を与えその後どうなったか」等の推測できるけどその時の社会を包む空気・雰囲気は想像するしか無い…が、鮪の解体ショーは見れても牛や豚のそれはちょっとゴメン…と思うのは当時の社会を包んでいた空気や雰囲気が連綿と気が付かないくらい薄く自然に残っているのかなぁと思う。国立情報学研究所にある同内容の著者の論文はどストレートなので本のほうが引用が多くて面白い。2023/05/25




