内容説明
生誕百年、万国のゴンブローヴィッチ愛読者は団結せよ!永遠の青二才による「不服従の手引き」。
著者等紹介
ゴンブローヴィッチ,ヴィトルド[ゴンブローヴィッチ,ヴィトルド][Gombrowicz,Witold]
1904‐69。作家、劇作家。リトアニア出身の領主貴族の家庭に生まれる。生地マウォシーツェは19世紀にリトアニアを追われた祖父がロシア領ポーランドに購入したもの。その後、ワルシャワで教育を積み、ワルシャワ大学法学部修士。短篇集『成熟途上の記録』(1933)でデビュー。67年、小説『コスモス』(1965)で国際文学賞を受賞
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感想・レビュー
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zirou1984
48
「おちり、おちり、おちり万歳ですな!」「ヘラヘラヘッタラ、ヘラヘラへ!」ヤバいー!これはポーランド発、道化を装う文学やくざの叛逆物語。30過ぎの主人公が不思議な力で子供にされ、純粋な子供を集めた学校に通うというあらすじにはドロップキック。成熟に楯突き、無意味と同衾する青二才の狂躁劇はエクソシスト風ブリッジでダンスをキメた言語的グルーヴ感に満ちている。何言ってるかわからないだろ、俺もよくわからないんだ。とりあえずもう、べらぼうな面白さ。おちり、おちり、おちりりり!万国のフェルディドゥルキストよ、脱糞せよ!!2016/03/02
三柴ゆよし
35
肥大する自意識を抱え込む三十歳の作家が、謎の教師・ピンコの手により、文字どおり十七歳の少年に退行させられて、混沌と退屈が渦巻く学校社会に放りこまれる……という一応のプロットを挙げることは容易いが、正直あまり意味がない。無惨なまでに破壊しつくされた破格の文体を用いた破格の小説。未成熟たることを全身で暴露し、青二才たることを全霊でアジる、ある意味、非常に危険な小説である。特に就活生は読んではいけない。抱腹絶倒すること数十回を超え、メモをとった箇所は百以上、最終的には全文を写経しようかとまで思いつめた。大傑作!2012/05/01
ノコギリマン
34
再読。永遠の青二才による不服従の手引き。多くは語りますまい。これは未熟者の聖典であり、つまりはボクにとっても聖典なのだ。2015/03/09
ハチアカデミー
29
S これはベケットとセリーヌの幸福な接合なのか、インポテンツによるジュネなのか。プロットのない安部公房か、現代(1930年代)のドンキホーテか、などと賞賛の言葉は幾らでも挙げられる。実存主義的、スキゾ的文学!とか。本書を読まずに生涯を終えるつもりなら、それらの言葉を弄べばよい。が、読み終え、本書を閉じた後に来るのは、えもいわれぬ幸福感である。「おちり」が村を照らすラストにも拘わらずである。まったくもって、何の為にもならない作品にも拘わらずである。ただ読むこと、それだけの為の「純粋読書」を満喫。とかく傑作。2012/10/09
やいっち
26
自分には、まったく初の作家。初めて読む作家(の作品)という意味もあるが、それ以上に、従前読んできた大方の作家とはまるで異質な作家だという意味もある。 あるいは、日本でいえば太宰治的な、文壇からは下手すると厄介者というか、鼻つまみ者扱いされる範疇の作家かもしれない。下手するとグロテスクな作風とも感じられるし、文学が真実を描くものだとすると、旧来の作家が見逃すか無視するか、観てみぬふりをしてやり過ごすような場面に執拗にこだわる作家だと感じた。2018/04/18