内容説明
ブルトンが熱讃し、レリスが愛し、フーコーがその謎に魅せられた、言葉の錬金術師レーモン・ルーセル。言語遊戯に基づく独自の創作方法が生み出す驚異のイメージ群は、ひとの想像を超える。―パリ郊外はモンモランシー、天才科学者カントレルの奇想の発明品が並ぶ広大なロクス・ソルス荘へ、いざ、―。
著者等紹介
ルーセル,レーモン[ルーセル,レーモン][Roussel,Raymond]
1877‐1933。パリの裕福なブルジョワ家庭に生まれる。ピアノを習うが詩作に転じ、19歳のとき、韻文小説『代役』(1897)を書く、この間、強烈な「栄光の感覚」を味わい、自らの天才を確信するが、作品はほぼ完璧に無視された。散文『アフリカの印象』(1910)と『ロクス・ソルス』(1914)の劇場版、続く戯曲『額の星』(1925)、『無数の太陽』(1925)の上演も理解されず、シュルレアリストがルーセルを擁護して劇場で騒ぎを起こした。1932年、括弧が重なる韻文作品『新アフリカの印象』を発表するものの、翌年、旅先のパレルモで睡眠薬の大量摂取により自殺した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
29
意味不明なままに装置の構成や動きだけを説明された場合、どれだけ精緻な解説であってもイメージが全く頭に入ってこないという体験ができます。あとづけで由来が種明かしされても発想が奇抜すぎて、はいそうですかとはなりません。頭をかきむしりながらなんとか読み通して何かいいことがあったかと問われたら…ないこともないような気がします。2019/02/18
三柴ゆよし
27
以前、同著者の『アフリカの印象』を読んだら7頁で挫折した苦い経験があるのだが、こちらはそれなりに楽しめた。おかしな発明品が開陳され、観客が「おおッ!」となったところで「実はですね……」の種明かし(?)が挿入されるというパターンが反復されるので、リーダビリティは案外高いのだ。披露される発明品は、すぐにでも「無意味」の形容に使えそうなものばかりで(歯でモザイク画を描く機械のように無意味だ)、実際にルーセル自身も、ほぼ無意味な文章を独自のアナグラム的手法で読み替えることから、発明品の発想を得ていたらしい。(続)2013/03/02
chanvesa
19
ちょっと気持ち悪い話のように感じた。歯のモザイク画は怖い。一番面白かったのは青柳いづみこさんの解説でした。もっとセンシティヴで心が和むやり方をクラフト・エヴィング商會がやっていると思うのです。2015/10/10
ラウリスタ~
13
ん、なんでこんなに読んでいる人多いの?結局は、出版社か。これは『さかしま』から『日々の泡』(ヴィアン)へと続く系譜に位置づけられるかな。人里離れた邸宅で、奇妙な実験が繰り広げられている。超自然的出来事が怒っているとしか思えない、信じがたい光景の数々。それぞれについて主人が科学的に?種明かしをしていく。ストーリーが皆無で、奇想天外な実験の提示とその種明かしに終始する。おそらくは原文でなければ分からない言葉あそびがちりばめられている。それ以上に、この物語の構成そのものが、エドガー・ポー的に緻密な言葉遊び。2013/10/13
おおた
13
マッド・サイエンティストの展示会であるはずなのに、物品同士に脈絡がないため、このヘンテコ発明は何を求めるのか、と無意識に意味を求め続けてしまったのが敗因。誰だ、こんな本で読書会をやろうと言ったやつは、と自分の首を絞めたい。ルーセルの場合、A文とB文で最初と最後が決まり、それを埋めるための文章だって聞いたけど、本書からその雰囲気は感じられなかった。種明かしすらページの物理的距離が遠すぎて難しい。読者の意見求む、ということで3/16の読書会で教わってこよう……。2013/03/04