平凡社ライブラリー<br> 増補 聖なるロシアを求めて―旧教徒のユートピア伝説 (増補)

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増補 聖なるロシアを求めて―旧教徒のユートピア伝説 (増補)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 369p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582764772
  • NDC分類 198.19
  • Cコード C0316

内容説明

十七世紀後半、正教会の儀礼の改革をめざす総主教ニコンの命令にしたがわず、ロシア的伝統を守ろうとしたアヴァクームは、迫害と追放のうえ、火刑に処される。以後、正教会から分かれ、古来の典礼を守りつづけたロシア旧教徒たち。その信仰とユートピア伝説を丹念にたどる。一九九〇年度大仏次郎賞受賞作。

目次

第1章 アヴァクームの闘い
第2章 見えぬ町キーテジの物語
第3章 日本国白水境の探求
第4章 ネクラーソフ派カザーク
第5章 ルキヤーノフの聖地巡礼
第6章 モスクワの旧教徒たち
補章 日本に住んだ旧教徒たち

著者等紹介

中村喜和[ナカムラヨシカズ]
1932年、長野県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専攻、ロシア文献学、ロシア文化史、日露交流史。日本貿易振興会(ジェトロ)、東京大学、一橋大学、共立女子大学などに勤務。現在、一橋大学名誉教授。1999年、スラヴ学への貢献と日本におけるロシア文化の普及などの功績により、ロシア科学アカデミーからロモノーソフ記念金メダルを受ける。同アカデミー外国人会員に選出される
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感想・レビュー

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松本直哉

24
異教徒の迫害から守るために、神が町を丸ごと湖の下に隠して、そこに行くと今でも鐘の音が聞えるという伝説が好きだった。ドビュッシーの「沈める寺」は不信心な街が沈められた伝説だったが、こちらは信心ゆえに救われた町。ピョートル大帝とニーコン主教によるロシア正教の西欧化の動きを反キリスト的だと批判して、頑固に古いしきたりを守る旧教徒にとってはこの世は苦く、居場所はなく、湖に隠してもらうのでなければ、戦争も税金もない理想郷を求めてさまようほかなかった。極東のサハリンや函館にまで及ぶ彼らの足跡に、ゆるぎない信仰を見る2022/09/10

Haruka Fukuhara

7
ロシア語の先生の雑談が面白いけど基本的に未知の領域のことばかりで追うだけで精一杯だったけれど、この本にその裏付け的な記述が結構たくさんあったので参考になりました。2017/07/07

Koning

5
17世紀ロシア正教会の改革で分離派と呼ばれることになった保守的なグループが遠い国の黄金郷として日本を目指してみたりする話なんだけど、これが今日に続く偉く長い時間を旅する話なのですよ。日露戦争前後に樺太を経由して日本にも彼らがたどり着き、そして通過してアメリカにコミュニティーを作ったり(ある意味アーミッシュなんかを彷彿とさせるわけですが)。なかなかに大変な話でもありました。いや、これ説明すると楽しくないな(w 読めって感じ?2012/08/15

にせねこ

2
ロシア語購読の先生がこれに近い分野の専門家だったこともあって、旧教徒に関する文章をロシア語で読まされ、欧州に逃れた旧教徒が自分たちの聖書を出版したりなどしロシアの印刷史において重要な役割を担ったなどと聞いた。そのときは全容を把握できていなかったのだが、この本ではニーコン総主教がロシアのキリスト教をギリシャ風に改革した時から旧来のキリスト教がどのような道を辿ったのかを、網羅的ではないにしろ知れて面白かった。特にロシアの歴史で出てくるコサックが旧教徒であり、コサック自身について知ることができたのも大きい。2016/12/17

我門隆星

0
「ロシア正教」の中の旧教徒、農民に流布していたベロヴォーヂェ(白水境、理想化された日本)にまつわる伝承。2004/01/10

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