内容説明
戦後を代表する、天才能役者・観世寿夫。終生、世阿弥の伝書を読み続け、現代に生きる「能」を問い続けた寿夫が残した数々の著作の中から、「心より心に伝ふる花」をはじめとして、その真髄を伝える二十二篇をセレクション。二十一世紀に伝えていく、現代の「花伝書」。
目次
第1章 世阿弥の世界(無相真如;充実した沈黙 ほか)
第2章 仮面の演技(能の発声;能のリズム ほか)
第3章 伝統と現代(現在の能と世阿弥の能;能における伝統の問題―演技者として ほか)
第4章 能役者の周辺(能と私;能に生きて ほか)
著者等紹介
観世寿夫[カンゼヒサオ]
能楽観世流シテ方。1925年、七世観世銕之丞の長男として、東京に生まれる。2歳から稽古を始め、4歳の時、仕舞「猩々」で初舞台。19歳で「道成寺」を披く。戦後、「世阿弥伝書研究会」に参加し、伝書を熟読する。53年、弟の栄夫、静夫らとともに“華の会”を結成し、現代に生きる能をめざして活動する。62年、渡仏し、ジャン・ルイ・バローのもとに学ぶ。70年、現代劇との交流を実践する“冥の会”を結成、数々のギリシア悲劇、前衛劇を手がける。72年と76年には、ヨーロッパ各地で演能し、注目を集める。74年、芸術祭優秀賞受賞。世阿弥の能芸論、夢幻能を軸に、終生、能の本質を問い続けた。78年、53歳で永眠
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感想・レビュー
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MOONIN
2
先日読んだ「心より心につたふる花」と被る部分も多少あり。 私は能の観客に主張をおしつけてこない超然としたところが好きなんだけど、そう思える舞台が「我心を我にも隠す安心」ということなんだろうか…? 舞台の上で起こることを正しく受け取って、的確に反応を返さないといけない現代的な舞台芸術は、楽しい代わりに疲れる時がある…。2022/06/26
eidecay
2
観世寿夫という、能楽の天才と言われたらしい人の雑誌などの記事を集めた本である。 能についての先行知識がこれっぽちも無い私だが、お能を初めて見て感銘を受けたというきっかけで本書を読んだが、この本もまた印象的だった。 著者の美意識、舞台芸術としての「今」の能の「今」の立場(30年以上前に書かれたことなので、それ以来は著しい変動はあったかもしれないが)についての、かなりストレートな考察、世阿弥の著作の批評や解釈(「花」、「幽玄」、「二曲三体」等々)、どれも面白かったので、能を見て感動した人はぜひ読んでください。2018/10/07
おがわ
1
しばらく住んでいた海外にもっていったまま置いてきてしまった。世阿弥の言葉を自分のアクチュアルな舞台に直結させる姿勢に圧倒される。そしてとにかくよく勉強している。今のお能の世界ではこの人の薫陶を受けた人たち(9世銕之丞、浅井、野村、浅見、友枝)がおもに銕仙会を中心にベテランとして活躍し、それこそすさまじい舞台を繰り広げている。DVDではいくつか残っているが寿夫さんの舞台がどんなものだったか生で見てみたかった。
AR読書記録
1
初心者がいきなり手を出すにはムリなレベルでした... が,下手に大衆迎合型ゆる入門ガイドを読むよりは,よっぽど能に興味がわくんじゃないかな.さらにギリシャの仮面劇まで観てみたくなってしまうのは,なかなか罪な書といえそうです.そう簡単に観られるモノじゃない(と思う)ので.2012/06/08
Yukiko
1
再読に入れるには、まず読んだ本のリストにいれなくちゃいけないのかな。言わずもがなですが、天才です。この方が生きていらした頃、大人が天才と言っていたのを聞くだけで、意味は分かりませんでした。でも、数年前にこの本を見つけて、なるほどと思ったのです。能が抽象的な表現を取りながら、ごく自然であることを日仏ダブルの男の子に説明する羽目になって、この本にとてもお世話になりました。こんな風に説明している本は、評論家の本にも、現代の能役者の本にもなかった。気持ちを立て直すために再読中。




