内容説明
日本の軍国主義に対する批判の姿勢を一貫してくずさずに生きた林達夫。その思想はどこから来たか。戦前と戦後を通して「声低く」語った政治的・社会的発言の数々。
目次
反語的精神
思想の運命
開店休業の必要
新スコラ時代
フランス文化の行方
現代社会の表情
揺らぐ屋台の一本の鋲
支那留学生
ちぬらざる革命
無人境のコスモポリタン〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
13
【概要】林達夫の社会評論・園芸エッセイを中心にしたセレクション。【感想】ソ連の虚飾や戦中から戦後への思想的転向を題材にしているのだが、分析の核となっているのは普遍的な事象である。イギリスびいきは知っていたが、自宅で西洋の庭園を再現していたり、風俗を知るための園芸だったりと机上の知識だけでない地に足ついた知識人だったのだなと知らない面を知ることができた。2020/04/04
moonanddai
7
図書館で見つけ久久ぶりに読んでしまいました。林氏の言う「反語的」とは、(我流の解釈ですが)「『新体制』だ 『共産主義だ』と、そんなに興奮してていいんですかね…。政治的スローガンなんて結局は政治的命令、政治的強制でしかないでしょう。後々どんなことになるか分かってるんでしょうか。私は庭を作り、鶏でも飼いますか。その方がよっぽど世の中のことが見えてきますよ…」と言う感じでしょうか。それにしても、昔、結構この人の本を読んだ気がするけど、どんだけ分かったつもりになっていたんだろう……。(今もって同じだけど。)2024/09/17
Akito Yoshiue
3
時代が変わっても古びない文章を書く人がいるが、筆者もその一人。いま読んでも感心させられる記述が多い。2015/06/06
星規夫
1
冷静かつ皮肉な論評からは石碑のような安定感が感じられる。ろくに知らない人だったが、もう少し早く知っておきたかった。選集の残り二巻も早く読んでしまおう。2014/02/15
月
0
社会批評、園芸エッセイを収録した、林達夫コレクションの一巻目。明晰な知性を存分に発揮し常識を突き崩す鮮やかな手法、そしてその博覧強記ぶりに圧倒される。2014/08/26




