内容説明
日本の軍国主義に対する批判の姿勢を一貫してくずさずに生きた林達夫。その思想はどこから来たか。戦前と戦後を通して「声低く」語った政治的・社会的発言の数々。
目次
反語的精神
思想の運命
開店休業の必要
新スコラ時代
フランス文化の行方
現代社会の表情
揺らぐ屋台の一本の鋲
支那留学生
ちぬらざる革命
無人境のコスモポリタン〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
13
【概要】林達夫の社会評論・園芸エッセイを中心にしたセレクション。【感想】ソ連の虚飾や戦中から戦後への思想的転向を題材にしているのだが、分析の核となっているのは普遍的な事象である。イギリスびいきは知っていたが、自宅で西洋の庭園を再現していたり、風俗を知るための園芸だったりと机上の知識だけでない地に足ついた知識人だったのだなと知らない面を知ることができた。2020/04/04
Akito Yoshiue
3
時代が変わっても古びない文章を書く人がいるが、筆者もその一人。いま読んでも感心させられる記述が多い。2015/06/06
星規夫
1
冷静かつ皮肉な論評からは石碑のような安定感が感じられる。ろくに知らない人だったが、もう少し早く知っておきたかった。選集の残り二巻も早く読んでしまおう。2014/02/15
月
0
社会批評、園芸エッセイを収録した、林達夫コレクションの一巻目。明晰な知性を存分に発揮し常識を突き崩す鮮やかな手法、そしてその博覧強記ぶりに圧倒される。2014/08/26
goldius
0
自称思想家のほとんどは、思想仲介人に過ぎない。林先生も自身を知のブローカーだと認めておられます。商人が扱う荷が、「思想」であるというだけなのに、自分が利潤追求の商人だと気付かず、思想家、哲学者でござるとデカイ面してる奴等は滑稽だよな。2007/03/04