内容説明
戦前、宝塚のステージを華々しく飾ったスターは、憧れの人、中原淳一と結婚。以後、淳一に先立たれるまで、ひたすら淳一とともに歩いた四十余年は、スターを裏方で支える黒衣の生涯だった。パパさん、ありがとう。これまで、誰にも書けなかった。これからも、誰にも書けない伴侶の記。
目次
淳一との出会いと宝塚
結婚、東伏見での新婚生活
戦後の出発、出版界へ
しのびよる病い
『女の部屋』創刊、再び病いに
館山での療養生活
天国へ旅立ったパパ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
barabara
4
妻から見た中原淳一。当時は誰もが知ってる宝塚の大スターだったらしい葦原さん。こっちを読んでると相思相愛、とても家庭を大切にしている良き夫としか思えない描写で混乱。息子は父への憎悪で錯乱状態の手記だったから。人が何と言おうと、当人の妻が幸せだったのならよかった。この著者はケンチャンシリーズの祖母をやっていたらしく、写真を見るとなんとなく面影が…代々木の豪邸はホテルみたいでびっくり。今はマンションかな。2014/06/18
シチュー当番
2
著者は、賢い妻なのだろう。 夫の才能を褒め称え 「それにひきかえ、私はこんな奥さんでごめんね」 という語り口。 しかし時々 「病でイライラしていた夫は、こんな事を言うこともあった」 と哀しいエピソードを織り交ぜる。 これが所謂「暴露本」ではない事にぞわりとする。 奥様が小説の投稿に挑戦したら「女は下等生物」と罵られ。 娘が女優になりたいと言えば「愛される奥さんになるのが一番の幸せ」と諭され。 まぁ時代といえばそれまでなんだけど。 中原淳一さんにも男尊女卑の思想があったのだなと…。「やはり」という気持ち。2022/12/13
みこれっと
1
今まで読んでいた中原淳一の数々のデザインやおしゃれの本を読んでからこれを読むと「うっわ〜〜。けっこうきついなあ」というのが正直な感想。でも奥様えらい!仕事に厳しくて美しいものに妥協しないある意味「スキのない人」にはこの奥さんのようにおおらかな人じゃないと勤まらなかったんじゃなかろうか?最後まで・・・。奥さんが立派です。2014/08/17
硯浦由咲
1
最近「少女の友」関連の本を何冊か読んでいて、その正に「顔」であった表紙や口絵を描いていた中原さんに興味を持ち、読んでみた。「少女の友」との決別には複雑なものがあったようだけど、やはり中原さんと言えば「少女の友」。「少女の友」は、読者の少女たちに「おとなしいのはいいことですが、もっと自分の意見を言えるようにしなさい」と、当時としてはかなり進歩的な考えを促していたけど、意外に中原さん、男尊女卑的発言が多くて驚いた。巻末の年表みてると、本当に天才だったんだなぁ、と思う。2014/01/25
almondeyed
0
中原淳一の伴侶であった芦原邦子が、中原淳一の描く理想の女性像とはちょっと違い、ズボラで鈍くて楽天家であったところに、わたしは安堵の気持ちを覚えたのであった。いろいろと辛い経験を重ねてきたであろうが、それを浄化するように、終始筆致は軽やかで、読み終える頃にはすっかり芦原邦子さんの事が好きになっていた。2013/03/19