内容説明
現在の天津郊外より台湾海峡に至る長大な運河に沿っての福建への旅、チパング島への遠征(元寇)、さらには極寒のロシアなど、広大な地域にわたって産業や宗教、習慣、迷信などを見聞してゆくマルコ・ポーロ。インド洋を経由するスパイスコースで帰路に着き、ヴェニスを発って二十六年という長い旅の終わりをむかえる。
目次
第5章 大運河沿線の公道による福建への旅程(カチャンフ市(河間府)
チャンル市(長蘆県)
チャンリ市(将陵県) ほか)
第6章 南海経由の帰国航路(インドに関する報告、その国のさまざまな人種ともろもろの不思議について、まずインド通いの海船について;チパング島(日本国)
暴風雨の中を生き残ったカーンの軍勢が敵地の都市を占領したこと ほか)
第7章 大トゥルキー国事情(大トゥルキー国;カイドゥ王の王女とその勇壮果敢ぶり;アバガ・カンが王子アルゴンを派遣して戦わしめた始末 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
36
2巻は福建への旅と欧州への帰国行が中心。伝聞によるチパング島に絡んで言及されていた元側から見た元寇の描写が、日本側からの記述しか読んだことのない身には新鮮でした。南海航路は、インドでは食事に右手しか使わないなど正確な情報もあるのですが伝聞や誤解も多く、何となく壮大なホラ話感があり楽しいです。最後の4ハン国のゴタゴタを描いた部分が、ナッカールと歌で始まる勇壮な戦闘、敗走する敵の大虐殺が繰り返され、何度も出る決まり文句の効果もあって、タルタール人の戦いの一端を伝えるお話を聞いているようでとてもよかったです。2017/01/11
Hiro
10
マルコポーロの後編は、中国道中とインド太平洋諸島がメイン▼前編のシルクロード道中に比べ、マルコの中国・アジアへの関心は明らかに低く、差別的な記述や妄想も頻出します。この辺りが、知名度の割に、現代あまり読まれることが無い背景かもしれません▼有名な黄金の国ジパングも、比較的注目して取り上げてくれてますが、ジパング人は人肉食が大好きで、元寇の際にはモンゴル軍に日本の首都が占領された、なんて記述も(°_°)2013/10/07
CCC
9
伝言ゲームか、ほらや誇張のせいか。胡散臭い記述が(明らかな間違いも)多すぎて、読了時にはもはや全てが疑わしく思えたりした。なにせ日本人は捕虜を調理して出す人食い種族で、元寇で首都を占領されてるというような調子である。他の部分も推して知るべし。けどまあ、交易品についての記述なんかはまともな気もするし、全部が全部がデタラメというわけでも……。リテラシーが問われているのか。あるいはこの胡散臭さに浸るのが、当書の正しい楽しみ方なのかもしれない。2017/02/20
koji
4
今更「東方見聞録」を読もうという奇特な(?)人はいないでしょうが、意外と嵌りますよ。私は、佐藤優さんの「21世紀図書館」の必読100冊にあげられて、近所のブックオフで売り出されていたので、躊躇わずに買って暫く本棚にしまっておきました。少し読む本が尽きかけていたので、一寸手を出して読み始めましたが、有名なジパングの記述(日本人は人食い人種)の他に、凍土ロシアのトンデモ話(恥ずかしくて書けません)やらマンジ人に自殺者が多い話などヴェニスの貿易商人が13世紀のアジアをこう見ていたのかというのがびっくりです。2013/08/09
my
3
以前モンゴルのシルクロードを馬で走って以来、ずっと気になっていた中央アジアの歴史。フビライハンがかつて栄華を誇れども結局全てが乾いた砂と草原に戻る清々しい切なさのある光景が、ずっと胸に焼き付いていました。そこで本書を手に取り、歴史を少しずつ紐解いていきます。やはり目を引くのは人々の暮らし。金銀財宝がアジア一帯のあらゆるところから集まってきて、黄金のお椀で豪勢な酒盛りをしたり、妻を五〇〇人娶る王様がいたり、スケールが冗談のように大きく、嘆息します。読み応えのあるわかりやすい歴史書でした。2016/08/27