平凡社ライブラリー<br> 幻想の中世〈2〉ゴシック美術における古代と異国趣味

平凡社ライブラリー
幻想の中世〈2〉ゴシック美術における古代と異国趣味

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  • サイズ 文庫判/ページ数 313p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582762532
  • NDC分類 702.04
  • Cコード C0370

内容説明

鳥形鬼神・器怪・誘惑図・死の舞踏・マンダラ・蓮華文…。イメージの絶えざる越境と異種交配を空前のスケールで描いた形体の詩学、ここに完結。図版多数、2分冊。全面改訳決定版。

目次

第5章 蝙蝠の翼手と中国の鬼神(中世における蝙蝠の翼手と龍の頭冠;蝙蝠の翼手と東アジアの鬼神;東アジアと西欧;西欧における東アジアの絵画と地獄についての伝承)
第6章 東アジアの脅異(東アジアの神々、それらの台座と光背;生動する自然;生命ある器物)
第7章 大いなる仏教的主題(仏教と西欧の誘惑図;「死の舞踏」と朽ち果てた死骸;マンダラ;ゴシックの幟)
第8章 東洋の蓮華アーチ(東洋の背向曲線;西欧における背向曲線)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

10
「ゴート風」(Gothic)なる語の曖昧さは、一義的意味より相関性を優先し、異なるノード間を繋ぐネットワークを垣間見せる。本巻冒頭で悪魔の翼に注目する著者は、天使の痕跡だった羽毛の翼が無毛の蝙蝠の翼の図像になる経緯について、東西交流によって東の怪物である龍の翼が悪魔に転用する過程を図版で示しつつ仮説する(読者は十字軍とイスラムとの交戦の中でキリスト教圏に東のイメージが流入する様を加えてもよい)。そして最後に、西のゴシックと東のマンダラがネットワークする時、かたちを作るのは生命の過剰さであることが示される。2019/06/08

misui

6
再読。下巻は東アジアの影響について。悪魔の持つ蝙蝠の羽の源を中国に求める説、釈迦の誘惑図から聖アントニウスの誘惑への感化。「孤独者はあらゆる幻想と幻覚世界とを再興するための一つの口実、一つの興味の中心になった。」「中世の古い地獄によってまず再活性化された<聖アントニウスの誘惑>は、東洋的思潮から感化を受け、単なる隠者伝よりもっと広範な神話の影響の下で宇宙的な広がりを持つようになったのだ。」2019/07/06

bittersweet symphony

1
「中世の知識人」 https://bookmeter.com/reviews/101939900 に引き続き西洋中世関連未読本連鎖対応中。ルネサンス以前の西洋のビジュアル・イメージが、当時の後進国の立ち位置ならではの共時的・通時的な先進国からの影響のもと成り立っていたことを検証している。2巻目の本書ではモンゴルを中心ルートとしたインダス・中華要素の需要史を跡付けていく内容。理路整然とした論旨の作品のあとがきを雑然を特色とする荒俣宏さんが書いているのは不思議ですね。2021/10/27

ぽてと

1
博覧強記とはこのことで、ゴシック美術における幻想的なイメージの根源を辿り、東洋まで到達させてしまう腕前には驚きを通り越して呆れるほかない。現在では半ば常識になっている東洋と西洋の文化的交流だが、バルトルシャイティスがこの本を書いた時代はまだまだ西洋中心主義が強かった時代なのだから、名品に紛れ込むイスラーム、さらには仏教の影響を指摘することは大変な衝撃をもたらしたことだろう。この本自体が奇書で難解でもあるが、表紙のボスの絵をはじめ、過去の人々が描き出す神秘的で奇怪な作品の図版を眺めているだけでも面白い。2016/05/19

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