内容説明
中国人のこころの諸相を捉えた「狂字論」「真字論」、古代人の生活誌ともいうべき「火と水の民俗学」など、広大にして豊饒な漢字の世界に遊びつつ中国の歴史の深処にせまる、白川文字学の精華。
目次
第1章 文字遊心
第2章 火と水の民俗学―古代文字と民俗学
第3章 漢字古訓抄
第4章 漢字の諸問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
著者のエッセイは、異質な自然の中で生きる社会と自然を排除する社会の違いに読者の目を向ける。著者はフーコー『狂気の歴史』等の西洋の「狂」の扱いの根底に異質なものを見出し、それが同質な人間同士の作る無媒介の狂気に、異質なものとして介入し狂気を和らげる古代社会を仮説する。異質なものを受け入れる社会では刑罰概念はなく、異常な事態は神=自然に起因すると解されたという。著者は、行き倒れを表す「眞」が「真」であるのは、顛死という異常事が神の仕業とされ、顛死者は永遠の命を持つとされる故に「鎮魂」が必要だっだのだと捉える。2020/12/26
自由浮遊社
1
同作者の『文字逍遥』についで読んだんだが、非常にわかりやすくて読みやすかった『文字逍遥』に比べると、ちょっとハードルが高かった。面白いのは面白いんだけど、小難しい。読了するのに、2ヶ月近くかかった。特に前半の「狂字論」、「真字論」が難関だった。まあ、時間をかけても読む価値はある本だと思った。2018/07/19
賽子
1
★★☆☆☆・・・漢字の原義を甲骨文・金文から独自の考察をする、白川ワールド全開の本。京極堂の蘊蓄部分だけを集めたような本だと思ってもらえば、間違いないです。2006/04/16
双海(ふたみ)
0
「文字遊心」・・・いいですね。2012/12/02