内容説明
日本の20世紀を生きた最大の、そして最も問題的な文学者の評論選。戦前・戦中・戦後を一貫して、つねに「人間的」でありつづけた批評意識と、具体的なものに向けて言葉をただす文学の力の稀有な展開を一冊に。
目次
風習の考え方
控え帳 一
「文学者に就て」について―貴司山治へ
警察官について
結核予防週間について
控え帳 七
閏二月二十九日
文学における新官僚主義
「白衣作業」ノート
探求の不徹底―『生活の探求』を読む〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつや
3
評論集としてあるが必ずしもお固いものばかりでなくエッセイ的なものも収録されている。その時代の世相や風俗を感じられて興味深い。戦中東京の女性ファッションを語りながらなぜか男の禿や白髪へと論は移り「禿の美しさは日本ではまだ認められていない」などと言い出したのには笑ってしまった。肝心の評論はもちろん鋭く、名指しで的になった人が気の毒になるほど。その鋭さは己の属する政党へも当たり前にむけられるので、党からの除名となるのは当然の帰結と言える。しかしこのような人材を排除する組織がどうなるかってのは推して知るべしだなあ2018/04/20