内容説明
世界ではじめて出版された、子供のための「絵本」「絵入りの教科書」。17世紀当時の世界観に基づくさまざまな事物を素朴な木版画とやさしい文章でときあかす。教育史・思想史における不朽の古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ラグエル
12
モノに名前をつけていく、博物学のスタンス。これが、世界を知ること。「かしこくなるとはどんなことですか」「必要な全てのことを正しく理解し、正しく行い、正しく語ることだよ」「誰がそれを教えて下さるのでしょう」「私が、神の助けによってだよ」キリスト教に依って立つ。が「……くちづけし、なでさわり、抱擁し、踊るようなみだらな生活が」……何を教えているんだ?「殺人犯や強盗犯は車裂きの刑車の上に足を砕かれて置かれるか、またはくいに突き通され……」……何を教えているんだ! で、最後は、「最後の審判」。2011/12/12
おくりゆう
8
世界初の絵入りの教科書。当時の、ヨーロッパの世界観が伺いしれ、視覚的にも楽しめる一冊でした。という軽い楽しみ方から解説にもあるように歴史を辿り、その意義を深く考える第一歩にもなりそうです。2013/12/16
ラグエル
8
「変形と異常発育の人」という項目がある。それもどうかと思うのだが。その中に。「大きな鼻の人、唇の厚ぼったい人、……そして頭の毛が薄くなった人も、ここに付け加えておきましょう」とか。敵、多かったんじゃないか。コメニウス。2011/12/15
EMiri
7
絵入り教科書とも、世界最古の絵本とも云われている。1658年刊行。物事を示す絵の中に数字が振ってあり、本来はラテン語とその他の言語(独語や仏語、露語など)の文がセットで書かれていらしく、使い方によっては指差し単語帳のようだとも思いました。あとがき解説には、鎖国時代に薩摩藩が露語から日本語に訳していたと読み、歴史に震えました。2022/08/24
還暦院erk
6
図書館本。各頁の図の数字と文章とを照合させつつ、意味がよく分からない語は辞書で確かめつつ、精読読了。凄い「教科書」だ!…後書きにある文献で江藤先生、堀内先生のお名前を発見してしみじみ懐かしかった(コメニウスの著作を江藤先生の学部講義で知り、興味を持ったものの今まで読むのを後延ばししてきたのだ。30うん年越しの宿題)。通読できてよかった。『世界図絵』を初めて日本語に訳した薩摩出身のゴンザのエピソードも泣けた。「連れて行こう こなたを 越えて 凡ての 物を」2015/09/08