内容説明
性狷介にして行状あくまで奔放、その往くところ論争、喧嘩また騒動。しかし、亡児を想い、持病を気にし、守護霊にすがる日々もある…八宗兼学のルネサンス人が波瀾の人生を克明に綴った自伝文学の傑作。改訳決定版。
目次
故国と祖先
出生
両親に共通な持ち味
今日(1575年10月末)にいたる生活のあらまし
体つきについて
健康について
肉体の鍛練について
食生活について
功名心
生活の信条〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
18
奇書だね、これは。母親の堕胎失敗からトクトクと描かれるルネサンス時代の数学者カルダーノの赤裸々自伝。ヨーロッパでは、ギリシャ以降、暗黒中世の陰にひそんでイマイチだった数学が、ようやっと復活の兆しをみせるのだけど、その立役者がカルダーノ。いまだに信じられないけど、当時は数学試合というのがあって、三次方程式の解法をごらんあれ!みたいに勝負していたらしい。数学者なだけでなく、占いも医学もギャンブルも作家もこなした前近代の万能人の人生はハチャメチャだけど、ドン・キホーテみたいな朗らかさがあってステキだ。2016/03/30