感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
74
先日『チャベック兄弟子どもの世界』を鑑賞し手に取る。硬軟様々な切り口に垣間見る氏の信条。 『不幸の中で』や『20万人』が醸し出す平和と次世代への想いが印象的。 暗雲立ち込める時勢と、兄の未来を暗示した感。随所で示す科学技術への懸念。特に「車輪と可能性」の件は、期待と危惧の警鐘。一方、『適時読書』 や『地図』は身近で共感。前者は私自身のことを振り返り、後者はもれなく我が家の次男。 秘密・陽気さ・犬猫などの男女比較は、時代と文化を反映し少々 ステレオタイプ。但し、”四つの目”は、事実かどうかは別として笑う。 2018/05/31
meg
35
カレル・チャペックのほのぼのエッセイかと思いきや、切り込む斬り込む!チャペックの言葉は自分である存在を揺さぶる力強さがある。とても興味深い、そして何より面白い。2024/09/11
アナクマ
27
50余りあるエッセイの1本目。自宅の近くを散歩していて「なにかが成功しつつある」と感じる著者。建設中の住宅に未来への希望を見たのだ。複数ある(であろう)自我の輪/アイデンティティの範囲がキャッチする何らかの兆しを、自分の喜びとして感知するという心の働き。「その範囲はつねにどんどん広がっていき、たとえますます希薄になっていくにしても、それはつねに〈われわれの〉自我の一種である」(p.13)◉その〈輪っか〉をどこまで広げることができるか(そして幾つ持てるか)。今日の感想は走り書き。2023/08/27
かんやん
24
滋味溢れるエッセイ集かと思っていた。もちろん、人間や日常生活の観察をユーモラスに展開した楽しいコラムと挿絵には事欠かないし、それこそ求めていたものなのだけれど、時局・政治にテーマが移ると次第に重苦しくなってくる。著者の死後数ヶ月でナチスがチェコを占領し、挿絵を手がけた著者の兄は収容所で亡くなっているという事実。事故や災害について語りながら露呈するのは、あまりにもナイーヴなチャペックの心だ。「センチメンタルでないのは、ただ悪漢とデマゴーグだけだ。センチメンタルな理由がなければ、隣人に一杯の水も与えはしない」2018/02/11
TomohikoYoshida
18
新聞2紙に掲載されたコラムを翻訳者の飯島さんが編集したもの。新聞のコラムだけあって、堅苦しいものが多い。本の最初の方は、生活感のある話題なので楽しく読めるが、どんどんと重たく暗い話題に入っていく。第一次世界大戦と第二次世界大戦のはざまの時期だからこその重さ、そして暗さである。平凡社新書の評伝「カレル・チャペック」を読んだが、それ以上に多数のコラムを通して、カレル・チャペックの人柄や思想を理解することができる。貧困層や困っている人を思いやり、平和を愛する人柄はコラムの随所に感じることができる。2021/07/24
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- 和書
- 嵐が丘 マンガで完読