内容説明
うち続く戦乱、猖獗する黒死病、終末と新生の予感…。特異な死のイメージの起源と伝播を尋ねる旅は、黄昏の中世ヨーロッパとのはるかな時を隔てた対話、瑞々しい感性と大きな構想力を具えた歴史紀行の佳作。
目次
第1章 「死の舞踏」への旅
第2章 クルゾーネの死
第3章 死の伝播
第4章 南欧の死
第5章 死にゆく人々
第6章 マルシャンの木版本
第7章 マカブレを追って
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ののまる
7
死がとても身近な中世ヨーロッパ。骸骨の絵が壁画などにあちこちあるのが、不思議だったのです。なるほどね。2014/06/16
久美
0
「死の舞踏」の題材に惹かれるのはどうしてだろう。人は「死の勝利」を認めることによって自らの生の意味を勝ち取っていたのか。誰もが突然死に襲われる、だからその時まで精一杯生きなければ。自分の腐敗死骸像を残し、あわれな姿に祈りをささげてもらうことによって自らの救済を図るというのは面白いと思った。キリスト教以外でもそういう発想はあるのだろうか?2015/12/14
あだこ
0
中世ヨーロッパにおける流感、戦争、宗教といった要素が結実したかたちとして「死の舞踏」を解説していく。現代では衛生概念の発達によって隠されてしまった「死」がとても身近であった当時に。人びとがそれをどう感受したのかが壁画や版画として現れているというのが本著の主旨。美術史としては筋は通っているが、対極に位置する聖書代わりの布教としての版画などといった要素が無視されていて、歴史学や社会史としては説得力に欠ける。2012/11/20
鳩羽
0
「死の舞踏」の成立の過程を、歴史とその土地を追いながら説き明かそうとするとする内容。死の舞踏の図像の解説や、詩、逸話への取り上げられ方など。眺めただけの適当読み。死者と生者の混じった行列が楽園パレードのようで、言葉も知らない赤子までも例外じゃなく死に連れていかれるというのが怖い。完全な死の勝利。私は死にゆく……2010/07/24