平凡社ライブラリー
文字逍遙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 443p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582760460
  • NDC分類 821.2
  • Cコード C0387

内容説明

漢字はその構造のうちに、古代の人々の思惟や生活の仕方を豊かに伝えている。想像を絶するほど広大な漢字の歴史世界をはるかに見渡し、そこに隠された精神史の諸相を鮮やかに捉えた達意のエッセイ集。

目次

第1章 文字逍遙
第2章 鳥の民俗学
第3章 漢字古訓抄
第4章 漢字の諸問題

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

16
常用字解を引きつつ読んだ。講演を含む様々な原稿を纏めた本なので統一性はないが、多少の重複のある記述は、初学者には却って理解の助けになる。この上は長く放置した氏の東洋文庫「漢字の世界」に手を着ける他ない。神霊との意思伝達の手段として成立した漢字がいかに進化したか、文化尚幼き我が国に入った漢字が、我らの精神の成長を育んだ事に思い至る。一種の日本語語源辞典である「字訓」に至った氏の学問の帰結も理解した。後半に藤堂明保の居丈高な非難に応えた短文が乗る。氏の大部な漢和大字典は、信用できぬ音韻変化表以外開く事もない。2025/01/13

Bartleby

13
『説文解字』が漢字の聖典のように長らくみなされてきたが、その後殷の甲骨文字が発掘されるなどして上著の誤りが見つかった。白川静は新たな資料を熟読し、新たな漢字学をみずから打ち立てようとした。彼の、祝詞をおさめる容器を表す“サイ”(Aを上下逆さまにして潰したような字)の字を軸にした漢字学は、漢字学においてどのような位置にあるのか寡聞にして知らないけれど、とにかく一つの壮大な物語として読めてすこぶる面白い。2022/11/10

Hatann

13
漢字に隠れた精神史の諸相を捉えたエッセイ集。漢字の本来の意味について、一般の辞書的通義で済ませるのではなく、本来の文字構造や語構成、容疑について述べることが必要だとする。「遊」は、神が幽顕の世界に自在に往来することだという。「道」は、人間の挑戦によって識られざる霊的な外界に開かれることだという。甲骨文・金文をトレースしながら探究した意味に唸る。白川静は東洋とは何かという問いを追った。敗戦後の現実は東洋の崩壊を齎したが、潜在的には今でも通底しているはずだ。漢字は東洋文化圏の連帯の証人として今も生きている。2022/05/04

もち

10
おもしろかった。硬質な文体で、むずかしくも思ったが、得られるところも大きかったように思う。常用漢字を制定したかたや、それを改変されているかたに是非とも読んでほしい。2016/05/11

またの名

9
恥ずかしげもなく士が性器の立ち上がった形を表し男の意味を持つ字になったと語る説を手厳しく論難するけど、ほとんど全部の漢字が神事の次元に由来するという著者もバイアス強め。その手に掛かれば遊びも道も鳥も視覚に思考に愛情や欲望までも神的な世界から生まれた言葉として理解され、陽物崇拝を大らかに行うような古代人のセンスが恥じりまくって聖だけに集中し性を最大限に抑圧していた、みたいなストーリーで完結してしまう。全く生活と性生活の感じがしない宗教的な古代人像が繰り広げられ、眉にツバをべちゃべちゃ塗りたくって聞くべき話。2025/03/06

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