内容説明
アイヌの人々の間で口伝えに語り継がれてきたウゥェペケレ(昔話)、20話。悪い根性を懲らす痛快な、よい生活の作法を教える温かな話の中に、人間と自然と神とが自在に交流し共生する世界のあり方を告げる。
目次
ススペチッチッ ススペランラン
金のきせる
暇な小なべ
夜鷹にされた兄弟
へびのまゆげ
ひとつぶのサッチポロ
宝の箱
女神のお守り
ひろった子ども
プクサの魂
なべ神の怒り
エカシオッパレ―おじいさんに不孝をした子どもの話
カムイユカラ ヤイピラッカとチチャアイヌ
貧乏アイヌとユカラ
立ち木と取ったすもう
熊神と白ぎつね
物知り老人
耳輪の片ほう
家出した犬
罰当たりシリマオッテ
アイヌ語 パラコアッ(罰当たり)シリオマッテ
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
74
アイヌは自然と共存するようにして暮らしていた。自然のあらゆるものが、神となった。なので、その昔話には、自然界の様々なものが神となって登場する。そこでは、人ならぬものが、人とおなじように行動する。アイヌの昔話の最後には、教訓がついている。アイヌは文字を持たずすべてが口承だったため、教訓つきの昔話は子どもの躾や教育のためのものだったのだろうか。原語で収録された話もあり、語りを聞いてみたくなった。2020/09/04
翔亀
49
萱野さんが幼少時に祖母から語られた昔話。アイヌ語を話す人がいなくならない内にと録音を続け、日本語で語り直した昔話は150を超える。本書はそのうち20話。口承の昔話を柳田国男が初めて全国から採集した「日本の昔話」(昭和5年)106話は、東北は多いが北海道のものはない。アイヌを同列にはできなかったのだろう。同じ昔話といっても、随分違うのだ。比べてみると日本の昔話は理に落ちている感じだ。グリムもそうだが残酷な話が多い。一方、アイヌの昔話は優しい。悪人も最後に必ず救われる。厳しい自然の中で優しい神が見守っている。2015/05/23
たまきら
41
読み友さんの感想を読んで。元々口語だけで記憶を受け継いできた文化だもの、読み友さんも驚いていらしたカタカナ表記のアイヌ語で聞いて見たい…。検索したら、公益財団法人アイヌ民族文化財団が多数の音源をアニメーションとともに紹介しています。特に子守唄は圧巻で、美しい調べにうっとりしました。こうやって文章で読むのもいいけれど、もしかしたら動画で紹介する方が正統派なのかもなあ…。2023/12/12
Hong Kong
39
20の昔話が収められている。最後のお話、罰当たりのシリマオッテを読んだ次がアイヌ語をカタカナで全文書いた話だった。読めない!と思ったら、先に読んだこの罰当たりのシリマオッテだった。少しだけ音読に挑戦したけど、リズムが分からず断念。 物語の基本形は、アイヌの村人、父は熊や鹿を狩り、母は畑でひえや粟を作る。父が病気やまたは単に狩りが下手だと食べることができず、母子が苦労してベジ生活になる。中盤に色々なエピソードが一人称で語られ、最後は主人公の反省や教訓。あとがきにもあるように、⇛2023/10/12
NAO
34
アイヌは自然と共存するようにして暮らしていた。自然のあらゆるものが、神となった。なので、その昔話には、自然界の様々なものが神となって登場する。そこでは、人ならぬものが、人とおなじように行動する。アイヌの昔話の最後には、教訓がついている。アイヌは文字を持たずすべてが口承だったため、教訓つきの昔話は子どもの躾や教育のためのものだったのだろうか。原語で収録された話もあり、語りを聞いてみたくなった。2020/09/04