内容説明
危機の時代にあって批判的姿勢を貫き、1940年、自殺と思われる死にいたる。歴史にあらがい、歴史を逆なでした20世紀屈指の批評家、その生と死、その完結せざる生と死を、〈ここ―いま〉に呼び起こす。
目次
序 三つの天使像
1 クレーの〈新しい天使〉との出逢い
2 1921―〈雑誌〉としての天使
3 パリ―迷宮の構図
4 1933―生涯の天使
5 希望という手仕事
6 1940―歴史の天使
補 追悼のための三章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どらがあんこ
11
読後に残る根源と回想の渦のイメージ。それも固定的な裁断ではなく、現前するものとして色鮮やかである。ただやはりそれは「歴史をさかなでするもの」であり戦慄なしでは考えられない、シビアなものであるのだなと。気がつけばいつの間にか固めてしまっていて、それでもって動的だと言っているのだから皮肉なものだと思う。(自戒をこめて。)2019/02/28
misui
5
ベンヤミン入門に手に取った。ベンヤミンが生涯を通じて関わることになった「天使」のイメージをひとつの軸に、第二次大戦において彼が「境を越える」までの歩みを概観する。難解でいまいちこれという理解は得られなかったが、苦悩に満ちた生涯とその真摯な姿勢ははっきりと感得できた。これから関連書にあたって彼の思想の細部を詰めてみたい。2013/05/17
受動的革命
2
難解だがベンヤミンの「アクチュアリティ」を絶対に手放さない姿勢は本当に優れていると思う。2024/12/12
ダンパー
1
彼は、同時期の亡命文学者たちと同様、資本主義的な文学市場の要求に応じざるを得なかった。しかし、あくまでも自分の関心外の仕事を行うことがなかったことからは、彼の学問に対する姿勢が身振りとして伝わってくる。2014/06/27
シュミットさん
0
「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは、橋でも翼でもなくて、友の足音だ」2008/10/08