内容説明
詩、泣き歌、鳥の声、滝の音…森の民カルリのもつ象徴体系を分析し、文化としての「音」の重要性を提起する。“感覚の人類学”へ。
目次
第1章 ムニ鳥になった少年
第2章 鳥の声、森の声
第3章 女の泣き歌い
第4章 喪失の詩学
第5章 男の涙を誘う歌
第6章 鳥への化身―カルリの美学
付録(カルリ民族鳥類学;カルリ用語解説)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
75
ワッピーさんのおすすめ本。パプアニューギニアのカルリ社会における著者のフィールドワークの結集としての音の民族誌。精神的運命共同体としての食べ物の占める位置が高いことと色々な鳥に関する文化やとりわけ鳥の鳴き声に関する考察が過ぎすぎる。2022/04/24
ワッピー
20
『世界異界神話』から派生。児童向けの民話集と思っていたら実に詳細な民族研究書でした。1970年代のニューギニア・カルリ族の間でフィールドワークを行なった著者は言語と自然と歌が一体になった精緻な世界に出会う。音を表す言葉が豊富で、しかも組み合わせて新しい音を取り入れることもでき、歌は自然を模写しつつ、聞き手に強い感情を呼び起こすよう考え抜かれている。現代人はプリミティブな生活をしている民を未開と見下しがちだが、生活の必要上、関心を向ける先が自然であり、それを捉え表現する感覚は足下にも及ばないと感じます。⇒2022/03/27