感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
2
カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の哲学教授で孔子研究をしている著者の論語について書かれた本。西洋人の論語の読み方、考え方が知りたく期待して読んだが、期待はずれであった。序で、従来ヨーロッパ人が孔子を紹介する際には孔子の思想をキリスト教的な解釈で理解しようとしていたという。それゆえキリスト教倫理に近い、またはキリスト教神学に似ている面のみ賞賛を受けてきたと説明にある。著者は論語の原典を忠実に読み解き、孔子の思想を解き明かそうと試みているが、いかんせんテキスト自体が英語なので成功しているとはいえない。2012/09/29
田蛙澄
1
近頃だらだら伝習録を読んでいて、以前一応論語は読んでピンと来なかったけど、実は本質的に相互尊重の話だったのでは?と思って気になっていたフィンガレットを何となく読んでみたが、自分が思い描いてる孔子像を非常に近くて驚いた。礼を単なる形式的な社会規範でなく、人間相互が尊重しあいつつ影響力を及ぼしあい調和する言動の型として言語行為論や聖なる儀礼のイメージを援用しつつ、さらに仁を礼をしようという決心として描き、行動は失敗してもその決心自体は揺るがないものとして君子の在り方あるいは状態としているのは卓見と思った2020/11/10