内容説明
中世ヨーロッパを揺さぶった大異端ボゴミール派=カタリ派の源流を追跡した決定版。隠された宗教的伝統の宝庫、バルカン世界の深層に光をあてた最も魅惑的な歴史探偵物語。
目次
第1章 二元論宗教革命―古代のイラン、ギリシア、ユダヤ
第2章 融合と正統
第3章 大異端の勃興―東方キリスト教世界の異端諸派
第4章 二元論教団―西欧のカタリ派異端
第5章 二元論主義への十字軍―二元論教団と正統教会
第6章 二元論伝説―ボゴミール派=カタリ派の世界観
著者等紹介
ストヤノフ,ユーリー[ストヤノフ,ユーリー][Stoyanov,Yuri]
1961年生まれ。ロンドン大学ウォーバーグ研究所に属し、宗教史・比較宗教学を専攻する。ブルガリア出身の俊秀。2001年イギリスの王立アジア学会の特別会員に選出された
三浦清美[ミウラキヨハル]
1965年埼玉県生まれ。電気通信大学助教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(露語露文学専攻)修了。博士(文学)
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
4
中世ヨーロッパにおける内なる脅威(カトリック教会から見て)と見做されたらしい、キリスト教の二大異端宗派ボゴミールとカタリに関する本。その善悪二元論(メジャーなキリスト教は神が万物を支配する一元論)の起源を紐解くために、古代ペルシャや古代ギリシャの信仰に遡る。どうも、系統的に言うと、古代の異教がユダヤ教経由でキリスト教に伝わり、グノーシスやマニ教等とも影響し合いながら、中世まで残存したらしい。十字軍に殲滅されたフランスのカタリ派、オスマン・トルコの支配下で消えたボスニアのボゴミール派、どちらもミステリアスだ2013/06/22
内島菫
3
マニ教と、キリスト教の二大異端・ボゴミール派とカタリ派との間の教説的な関連と時間的な断絶、また、イスラムがボスニア周辺(二元論異端派が根強く残っていた地域)を併合した後の二元論異端派の突然の消滅(イスラムへの転向?)に特に興味が湧いた。カタリ派・ボゴミール派からカトリックへ、また逆へ、支配者階級も被支配者階級もその時の政治情勢により柔軟に改宗もしている点を、非キリスト教圏の国向けにもう少し突っ込んでほしい気がした。異端にしろ正教にしろ根幹はキリスト教だからこそ、同族嫌悪が働いてはいるのだろうが。2014/11/21
陽香
0
200111212012/12/16